「才能はみだしっ子の育て方」Part2読書会より 後編 はみだす才能を楽しむ、伸ばす
「才能はみだしっ子の育て方」初の読書会、前編からの続きです。
前編はコチラ→「才能はみだしっ子の育て方」Part2読書会より 前編 共感する部分について、話してみた
https://note.com/sainou_gifted/n/nee5a2cb3a2e3
ギフテッドの子どもが好きなこと「あるある」
Dさん
本はこれから読むところですが、小学校中学年の息子にギフテッドの特徴がみられるように感じています。自分自身の幼少期と似ていて、それよりも顕著な感じがしていて。物事への集中力の片寄り、気分のムラ、知識のムラ、想像力がたくましすぎて夜な夜な泣いたり、完全主義なところとか、HSC傾向などがあります。
Aさん
想像力がたくましすぎる、ありますよね! うちの子はヒエログリフにハマっていて、オリジナルで象形文字を作っています。自分の名前を、ヒエログリフで書いてしまうくらい、マイワールド全開です。
Bさん
うちの子は、元素の周期表をわーっと覚えて、YouTubeで元素のうたをずっと聞いています。その前は電車。新幹線も見える駅のホームで3~4時間は電車を見ていました。そして、子どもがハマると親もハマるというの、ありますね! 元素は私も覚えました!
Dさん
うちは、今は恐竜・動物・古生物にハマっていますよ~。
Eさん
我が家の息子は虫が好きですね。
酒井
皆さん、電車、古生物、元素記号など、共通の話題になっていきますね! 楽しそう。
関川
保護者の方が、お子さんが夢中になる様子を楽しんでいる感じも、いいですね~。
Bさん
62ページ、ニュージーランドの保護者の方の話に、私は共感する部分がありました。親である自分に特性があると、子どもの個性も普通と思って、そうじゃない配偶者が置いてけぼりになる…といった話があって。私は、子どもの様子になんとかついていくけれど、夫は何がなんだかわからない…ということが、我が家では起きています。
才能はみだしっ子は遺伝する?
「ニュージーランドの保護者・教員・子どものための支援団体NZAGC*に取材をしていたときに伺った話では、才能はみだしっ子の性質は遺伝と育てられ方で顕著になりやすいということでした。そして、自分自身が才能はみだしっ子の性質をもつ親側にしてみると、子どもの性質が自分に似ていることから「普通」と思いがちで、子どもに対しても特に違和感をもたないのだそうです。」(p62より)
子どもの「やりたい」を制限しないで、つき合ってあげると実は大人も楽しい
Dさん
(お子さんが描いた恐竜の絵をもって、画面に登場。)そうそう、恐竜、古生物、学名は…というクイズをお風呂で出されています。私がわからないときには教えてくれるんです。字が読めるようになる前の1才のころ、図鑑ばかりを読んでほしいとせがまれて、繰り返し読み聞かせていたら、私も覚えてしまいました(笑)。今や、体長何メートルといったデータ部分が覚えられないと『ママはそういうところが弱いよね』と言われたりします。
恐竜から古生物が面白くなって、今はハイエナ・ハゲタカ・ハゲワシに興味をもっています。死肉を食べるにしても、どれがどこの部位を食べるのかなどの役割分担が決まっていて「トータルでバランスが取れている所が美しい」と言っています(笑)。身近に見られる、近い種類の鳥としてトビを探しに車で漁港へ行ったこともありました。
関川
楽しそうですね。
Dさん
なかなか余裕がなくて、できないときともあるけれど、つき合ってあげると面白いんですよね。子どもも安定しますし。
Eさん
うちは、子どもがよく虫の絵を書いているので、それを使ってTシャツを作って販売しています。…我が家はお小遣い制ではなく、「自分で工夫して稼ぐ」システム。そのための手伝いはしているので、ショップサイトは私が作りました。
酒井
それも社会の仕組みがわかって面白そう。外へ向かって発信することって大事、発表会も販売も。こういうお子さんたちの発表会を聞けたら楽しいでしょうね! 子どもとしっかり向き合うことって大変かもしれないけれど、一緒に楽しむといい方向にいくのかなと感じます。
正義感が強くて、未来を考えすぎてしまう才能はみだしっ子たち
関川
私は、56ページの「地球が危ない、おとなになるまで待っていたら手遅れになっちゃう」を読んで、サイエンスや環境問題に興味をもった子たちが作ろうとする未来を、私たち大人は邪魔しないで、どうしたらのびのびできるかを考えることが大事だと、あらためて思いました。
56ページ 地球が危ない。大人になるまで待っていたら
手遅れになるかも?
Dさん
そうですね。うちの子は、「ママ、僕、気づいてしまった…。動物や地球のためには人間はいないほうがいいと思う」と、先日号泣していました。
酒井
そうなんですね。こうして未来を憂いて悲しくなってしまうギフテッドの子はたくさんいます。正義感が強いし思い詰めてしまうギフテッドの子は多いです。
そんなとき大人は一緒になって泣くのではなくて、「そうは言っても」と楽観的な部分も見せながら、サポートしてあげられると、いいのかなと思います。悲観的なところばかりへ意識が行かないようにしてあげることも大事かな、と。むずかしいかもしれないけれど、「一緒に考える、一緒に受け止める」ということが大事なのでしょうね。
学費が高いことが難点? そしてギフテッドの子どもは本が好き!
Cさん
ギフティッドのお子さんの教育には、『学費が高額である点が難点だ』という専門家のご指摘もあります。
酒井
そうですね。個性を大事にする教育をしている私立の学校や、留学となるとたしかにお金はかかりますよね。
Bさん
今はインターネットがあるので、オンラインで無料で学べるところも、いっぱいあって活用しています。それと、学習漫画も好きですよね。「サバイバルシリーズ」とか、ジャンプで連載している「ドクターストーン」にハマっています。科学知識を使えば実現可能なことをマンガにとりいれていて面白いです。自然に対する愛情や、人間たちのエゴから自然破壊した人類たちへの愛情もあり、問題提起がたくさん。親子で読んで考えてみてもいいのではと思いました。
Cさん
インターネットは、確かに利便性が高いのですが、使い始めるとハマってしまうので、時間を区切ることが大切ですよね。
酒井
ほんとですね、たしかに。これは大人も、ですよね。本は想像力も高まるし、いいですよね。
関川
インターネットは問いがハッキリしているものはいいけれど、広い世界を知る、興味の幅を広げていくという意味では、やはり本の世界は楽しいですよね。
Aさん
うちにも本がいっぱいで、マンガは本棚に入りきらないほどです。読むのが速いので、1時間で3~4冊読んじゃうんです。燃費が悪くて、どうしたらいいでしょう?(笑)
しかも、繰り返して読みたがるから入れ替えができなくて。何周も読むので捨てられないんです。
酒井
あのときのあそこを読み返したい、とかあるんでしょうね。
Dさん
うちは、本はほとんど図書館に頼っていて、3回繰り返し借りたら買うという方式です。
Cさん
私も、マンガはほとんど読みませんが、本の山の中で暮らしています。
酒井
才能はみだしっ子は本が好きですよね! 「才能はみだしっ子の育て方」も、保護者の方がもっていたのを見つけて、お子さん自身が読んだ、という方がたくさんいらっしゃるようです。
Bさん
うちも、「この本なんなの?」と言って読んでいました。「こういう人たちがほかにもたくさんいるんだね、ニュージーランドか台湾に行きたい」と言っていました。
酒井
「自分の特性を理解する」ことや、仲間がいることを知ることも大切なので、この本は、才能はみだしっ子のご自身にも読んでほしいと思っています。
はみだすということの大切さ
酒井
ところで、この本の中で、何か違和感をもったところはありますか?
Aさん
うちの子は、学校はつまらないし苦しいけど、合わせなくちゃいけない場所だと思っているようなんですよね。合わせようとして浮いている自分もいやだけど、それでも行こうとしています。親としては、そんなに苦しいならやめておけばと思うんですが…、傷つきに行くようなものだから。
酒井
子どもとしては友だちには会いたいとか、この授業は好きとか、ありますよね。学校とかかわる量を、その子ごとに調整できて、「おいしいとこどり」ができたらいいのにね。今日は好きな授業だから行ってみようとか、今日は家でしたいことがあるから休もうとか。
Aさん
本人が納得しないと譲れないから、「いってらっしゃい」と言うしかないんですよね。
関川
今、不登校問題はどこにいっても話題に上がります。学校も先生方も苦しんで悩んでいるときだと思っています。
酒井
私は、「コンフォートゾーンをひろげる」ということが大事だと思っています。
65ページより
ギフテッドの子どもは、いろいろなことが見えてしまう・気づいてしまうがために、自分が快適でいられるコンフォートゾーンにとどまりがち。そこを少しずつひろげることで、できることも増えていきます。そのためにはまず安全地帯をつくることが大事、それが家庭だと考えています。安心安全な気持ちを持てるというところから、少しずつ広げることが大事で、失敗もあるしがっかりすることもあるけれど、小さな失敗の先には、学ぶできることが増えるのだと思っています。
お子さんがしんどいけど学校に行くのは、がんばってコンフォートゾーンを広げようとしているんじゃないかと思うんですよね。支えてあげて、ラーニングゾーンを広げて、いきなりパニックゾーンにいかないようにと、見守っていきたいですね。
関川
そろそろ時間となりました。今日はみなさんとたくさんのお話ができて楽しかったです! ありがとうございました。
☆ ☆ ☆
才能はみだしっ子を育てている方が4名参加してくださいました。また成人されたギフテッドの方のお話もいただき、皆さんの「生の声」を伺える貴重な機会となりました。ご参加くださった方々、ほんとうにありがとうございました!
四角い箱におさまらない個性を大事にしたいという思いを象徴して、この絵を文中で使っています。四角い箱というのは大多数のための教育で、一度にたくさんの子どもを教えるための枠。この枠が必要なときもありますが、子どもにはそれが世界のすべてではないことを伝えたいです。「はみだす」ということばはネガティブにとらえられることもありますが、ワクワクする感じもします。
私たちも、著者と読者という箱に関係を納めなくてもいいのかもしれませんね。そんなことを思う読書会でした。
ご参加者からは、違うPartの読書会もぜひ、というお声もいただきました。さらにギフテッドについて学びを深める場、また作っていきたいと思います。
(運営/関川 香織)
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