心の悩み、症状が無くなることがゴールではない?
セラピーの現場で感じることの一つ。
それは多くのクライエントが、症状やネガティブな感情が無くなることをゴールにしていることです。
例えば、あがり症で悩んでいたとします。
今の緊張の度合いを「10」としたとき、「0」を目指してしまうのです。
もちろん「0」になってもいいのですが、その考え方こそが、心の悩みや症状を維持させたり、元に戻ろうとする思考の働きになっています。
「0」を目指すということは、緊張=悪、だと捉えています。
そもそも緊張することは悪いことではなく、自分の身を守るために潜在意識(無意識)が出している感情です。
悪だと捉えてしまうと、緊張を避けようとしたり、感じないでおこうとしたり、ときには戦おうとしてしまいます。
頭の中では「自分は緊張する」ということが前提となり、余計に緊張に意識が向いてしまい、緊張を維持・強化する働きが起こります。
「緊張はあってもいい」
「緊張してできないことがあることが問題である」
と捉えることが大切です。
緊張してしまって、頭が真っ白になり、話す内容が飛んでしまい、伝えたいことが伝わらなくて、仕事や生活に支障が出てしまうことが問題なのです。
「0」を目指してしまうと、良い変化が起こったとき「0」になっていない自分に対して「まだまだ」とやってしまいます。
それは自己否定をしていることであり、そうすると潜在意識(無意識)で元に戻ろうとする力が働いてしまいます。
緊張度の度合いが「10」から「8」になったとします。
本来やるべきことは、起こった小さな良い変化を自分で受け止めて認めてあげることです。
そうすると、さらに良い変化を起こすために潜在意識(無意識)が力を与えてくれます。
そして「6」「4」と、さらに良い方向に進んでいきます。
長年抱えている心の問題や症状が一気に解決することは難しく、ほとんどは過程を踏んで解決していくものです。
ですから、解決までの小さな変化、過程もとても大事なのです。
まず目指すべきゴールはどこにあるのか?
あがり症であれば、
「緊張しながらも人前で話ができる」
ことです。
緊張しても人前で話ができて伝えたいことを伝えられるのであれば、別にたいした問題ではありません。
逆に、緊張感がない人の話はグダグダになりやすく、聞く側がしんどくなることもあります。
緊張感があるからこそ、人に感動を与える話ができることもあるのです。
ここをゴールにするとハードルが下がりますし、「緊張してはいけない」ではなく「緊張してもいい」と思えることが本質的な解決でもあります。
「0」を目指すのではなく、ネガティブな感情とうまく付き合うことができれば、問題は解決なのです。
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