ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#78
佐佐木 政治
ゆき暮れて 立ちどまる この純白のノートの前では
かつて如何なる物語も 荒野の一陣の砂煙を飾ったにすぎない
古代の英雄たちの世界征服譚も 消えるべくして
わずかな時の橋を 旗をおしたてて渡った風に過ぎない
大いなる努力か 馬の鼻づらに吊り下げられたにんじんと
果てしない並行線をたどったとしても
おゝ 否定の海がせり上がってくるだけだ
書きつける言葉は きまってエネルギッシュな波濤にかき消される
音もない 実体もない けだし底しれぬ 陥没の力に満ちた
すすりなきのような音声の中へ
ぼくらは引きかえす
この純白のノートのふちへ手をかけることによって
いやそれのみによって 息を吹き返す
大いなる努力が無と引きかえにやってくるのだ
>>>>>>>>>いつもフォトギャラリーから素敵な写真を使用させていただいています。感謝してます。ありがとうございます。<<<<<<<<
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亡父の詩集を改めて本にしてあげたいと思って色々やっています。楽しみながら、でも、私の活動が誰かの役に立つものでありたいと願って日々、奮闘しています。