【絵本プレゼンテーション】幻想的な雰囲気も、ウィットに富んだストーリーも魅力的!「お月さまってどんなあじ?」
お月さまってどんなあじ?
発 行 1995年9月9日 初版発行
絵と文 ミヒャエル・グレイニエツ
訳 いずみちほこ
発行所 セーラー出版
発行者 小川悦子
お月さまを題材にした絵本は色々ありますが、わたしの一番はこの絵本です。私は子どもと一緒に遊べる絵本が大好きなので、その点から言っても、この絵本は低学年・幼稚園、ご家庭での読み聞かせにもおすすめです。
あらすじ
『お月さまってどんなあじなんだろう』夜になると動物たちはいつもそう思っていました。ある日、小さなカメがお月さまをかじってみようと、高い山にのぼります。てっぺんまで行きますが、小さなカメには届きません。カメはゾウをよびますが、お月さまはひょいっと上へにげます。そこからは次々といろんな動物がやってきて、背中にのり、お月さまを目指します。さて、動物たちはお月さまをかじることができたでしょうか。
なかなかかじることができないお月さまに焦らされながら、お月さまの味はどんなだろうと、子どもと一緒に想像が膨らみます。
幻想的で優しい雰囲気&ユニークなキャラクター
かわいらしい動物たちと、お月さま。貼り絵と水彩画のような幻想的な雰囲気の絵が素敵です。お月さまを食べようとする動物たちも可愛いのですが、動物たちとのやりとりをゲームだなと、面白がるお月さまがかわいいなあと読みながら親しみが湧いてきます。
子どもが大好きな繰り返し
山のてっぺんに登った小さなカメは、お月さまに届かないとわかるとゾウを呼び、背中にゾウをのせます。ゾウはなんの躊躇もなくカメの背中に乗り、お月さまに届かないとわかるとキリンを呼び、背中にのせます。シマウマが来て、ライオンがきて、キツネがきて、サルがきて、ネズミがきて背中に乗っていきます。「ぼくの背中に乗ってみて、きっと届くから」けれどもお月さまはその度にひょいっと上へ逃げるのです。子どもは同じ繰り返しに安心を覚えながらも、次はどうだろうと、ワクワクしながら見てくれます。
ナンセンス、そして夢に遊びに来ているような絵本の世界
ゾウやキリンがカメの背中に乗る訳がないし、ましてやお月さまが食べられるわけがない。現実ではあり得ないことも、子どもたちの世界なら楽しめる事実です。夢に出てきて遊びたくなるような風景が広がる絵本です。
ハラハラしたあとは達成感も
よし、次にやってきた動物はお月さまに届くかなと思うと、まだ届かない。
けれどもついに、ネズミがやってくれるんです。お月さまをパリッと!
ハラハラしながら、子どもたちも一緒に達成感を味わいます。
絵本は表紙から裏表紙までがひとつのストーリー
絵本を読んだら、必ず裏表紙まで見てくださいね。裏表紙に結末のその後があったり、物語の余韻があったり、表紙と裏表紙が繋がって一枚の絵になっていたりしますから。それを発見するのも、絵本の楽しみ方のひとつです。
最後に
このお話し、なんといっても、最後のオチが効いています。ぜひ手に取って読んで欲しいので、ここでは詳しく書きませんが、サカナのつぶやきで完結するのです。夢見心地で楽しんでいたら、急にハッとさせられて終わります。最初から最後まで、大人も子どもも楽しめる絵本です。
子育て中にお母さんたちの絵本の読み聞かせあい会から絵本にハマり、図書館や小中学校での読み聞かせボランティアをしてきた経験をもとに絵本の紹介をしています。絵本はコスパの良いおもちゃ!親子で活用しやすくなるお手伝いができればと思い、思いつくところから書いています。自分が持っている絵本を撮影して使っていますが、著作権の問題等ありましたら、お知らせください。