ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#107
佐佐木 政治
火桶のように 神よ
あなたはぼくらの籠に微熱を盛った
ほんのりと皮袋が 火明かりを灯すほどに
微熱はどこへでも持ち運ばれ
雨や雪で消されることもなかった
しかし籠を浸している言葉によっては
微妙な変化があった
微熱を盛る炎の輪になったぼくらは
きまって二種に分別され
そのふたつの輪が重なると
そこに第三の輪が派生した
第三のふしぎな輪は
過去からみると偶然であり
未来からみれば必然のようにみえた
父・佐佐木政治
昭和6年長野県飯田市に生まれる。飯田高松高校卒業後、大学で仏文学を学ぶことを断念、木曽にて印刷業を営む。生涯、詩を詠み、本を作る。亡くなる二年前に脳梗塞で麻痺や認識障害を患うものの、動かない手を駆使して最後の詩集「神へ捧げるソネット」を手作りした。
>>>>>>>いつもフォトギャラリーから素敵な写真を使用させていただいています。感謝してます。ありがとうございます。<<<<<
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亡父の詩集を改めて本にしてあげたいと思って色々やっています。楽しみながら、でも、私の活動が誰かの役に立つものでありたいと願って日々、奮闘しています。