【絵本プレゼンテーション】 子どもはパワフルであり、その好奇心を止めることは罪だとひたすら感じる絵本。うちの子も大好きだった「どんどん どんどん」
どんどん どんどん
作 片山 健
発行者 原野隆充
発行所 文研出版
1984年9月30日
あらすじ
「あるひあるひ ひとりのこどもが どんどん どんどん ゆきました」から始まるこの絵本。3頭身の男の子が、ひたすら前へ前へ進みます。それはそれはわきめもふらず、突き進む。どんな障害があろうと突き進むのです。それは本能のままに生きる子どもの、そのままの姿です。
私の子どもたちも好きな絵本でしたが、私自身が大好きな絵本です。子どもの好奇心は、生きる力そのものなんだなあって感じる絵本です。
子どもが面白がるところ① ユニークなキャラクター
とにかく力強くて一途な3頭身の男の子です。表紙の写真にもあるように、片山健さんの描くキャラクターは、一度見たら惹きつけられて目が離せないのが特徴です。
子どもが面白がるところ② 子どもが大好きな繰り返し
とにかく「どんどん どんどん」突き進む。次のページもそのまた次のページも。そして、その道のりは次第に険しくなっていきます。
子どもが面白がるところ③ ナンセンス
次第に険しくなる道のりは、どんどん非常事態になっていきます。ビルを破壊し始めたり、荒れ狂う海の中を突き進んだり、火を吹く怪獣が現れたりとありえないことばかり。しかも子どもは顔色ひとつ変えず、一心不乱に進むのです!
子どもが面白がるところ④ ちょっとしたスリル&ハラハラ
「どーん!!」とうとう、男の子は倒れてしまいます。どうなってしまうのか?とハラハラしますが、「ひとやすみ」といって男の子は泥で小さな山を作ります。
子どもが面白がるところ⑤ まだ何かあるんだろうなと想像させるラスト
そしてまた子どもは歩き始めます。広い荒野に向かって足跡を残しながら、小さな背中が遠のいていきます。「そりゃあ ただもう どんどん どんどん いったのさ」という一文に、いろんな想像が掻き立てられます。
一緒に読んだ子供達と「この子がどこへ行ったのか」を、話し合ってみてもいいですよね。うちの息子は「お母さんのところ」へ行ったと、言っていましたっけ。
さいごに
わたし達は、大人になる過程の中でいろんなことを覚えていき、その中で、「それは危ないから」とか、「気味が悪いから」とか、「上司に叱られるから」とか、「格好が悪いから」とかいう理由をつけて、突き進むのをやめてしまう。でも、赤ちゃんが格好悪いという理由で「はいはい」をやめたり、危ないから立つのをやめようなどということは聞いたことがありません。
大人の「分別がある」という価値観が、良いのか悪いのかというジャッジはできませんが、圧倒的に、子どもの突き進む力の方が面白い!と、この絵本は私に思わせてくれます。
とにかくインパクトが大きい絵本です。こういう画風が好きではない、という方もいらっしゃるでしょうが、ぜひ一度手にとってほしい本です。
子育て中にお母さんたちの絵本の読み聞かせあい会から絵本にハマり、図書館や小中学校での読み聞かせボランティアをしてきた経験をもとに絵本の紹介をしています。絵本はコスパの良いおもちゃ!親子で活用しやすくなるお手伝いができればと思い、思いつくところから書いています。自分が持っている絵本を撮影して使っていますが、著作権の問題等ありましたら、お知らせください。
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亡父の詩集を改めて本にしてあげたいと思って色々やっています。楽しみながら、でも、私の活動が誰かの役に立つものでありたいと願って日々、奮闘しています。