ミュトスの雨<神へ捧げるソネット>#101
佐佐木 政治
言葉はおそらく
書きつけられると同時に仮死状態となる
インクがつづる時間の道が
可能性の空間で 枯死してしまっている
道という道 線という線には
怨念と残骸がびっしり凝集しはじめる
言葉が飛翔しつづけるためにも
時間の埃は 払い落とさねばならない
言葉は隼(はやぶさ)のように
稲妻の軌跡の穂先で獲物を 浚わねばならない
稲妻の柱にすばやく 炎を着せねばならない
時間という必然の入口に誘導されてはならない
同時という空間の中の数の存在
それによって奪われている自由を 取り戻さねばならない
父・佐佐木政治
昭和6年長野県飯田市に生まれる。飯田高松高校卒業後、大学で仏文学を学ぶことを断念、木曽にて印刷業を営む。生涯、詩を詠み、本を作る。亡くなる二年前に脳梗塞で麻痺や認識障害を患うものの、動かない手を駆使して最後の詩集「神へ捧げるソネット」を手作りした。
>>>>>>>いつもフォトギャラリーから素敵な写真を使用させていただいています。感謝してます。ありがとうございます。<<<<<
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亡父の詩集を改めて本にしてあげたいと思って色々やっています。楽しみながら、でも、私の活動が誰かの役に立つものでありたいと願って日々、奮闘しています。