シェア
谷野光一
2016年10月4日 20:33
その時、ひゅん、とかすかな風切り音が彗華の耳に届いた。ふわり、とロングヘアが宙を舞い、スカートの裾が大輪花の様に開く。彼女がその場でバク宙をすると同時に、コンクリートへ深々と突き刺さる光の矢。「誰かしら?」刺々しく、矢が放たれた方向をにらみつける。勿論光球は彼女の腕にしっかりと抱かれたままだ。「この違反者め!」語気荒く表れたのは、一人の少女だった。ネオンを受け群青に輝く
2016年2月25日 20:07
気づいた人は、夜空から猫が降ってきた、と思っただろう。 元「星峰彗華」、現在ロシアンブルーの猫はまるで重力がないかのように、ふわりと音もなくコンクリートへ着地した。 見下ろしていた光が、小さくなったこの身を塗りつぶさんばかりに迫ってくるようだ。知らず知らずのうちに、尻尾が左右へふわり、ふわりと揺れる。 おもわず鼻歌が漏れる、が、今の姿だと、只猫がふにゃふにゃご機嫌そうに鳴いているよう
2016年2月22日 22:55
星峰彗華、それが私の名前。けれど私は星よりネオンを愛した。「すいか」舌っ足らずな声。ついと頭上を見ると、小さい、虹色の光。「イリーゾ」 くるくる、と色を変えながら頭上の光、イリーゾは目の前に降りてきた。「あそぼ」「ちょっと待って。もう少しだけ、この景色を見せて」 ビルの安っぽい手すりに持たれる、私の眼前に広がるのは、 赤青黄色緑白紫ショッキングピンクウルトラマリンブ