サイコロ塾レッスンレポート:レシピ編
こんにちは!
9月のサイコロ塾は、「食」というテーマでゲームをプレイしていきました。1回目となる今回取り扱ったゲームは「レシピ」です。
豊富なバリエーションが魅力のお手軽ゲームです。ゲームを通して、子どもたちが普段口にしている料理に使われている食材に注目する経験だったり、日本やその他の国の料理について学びました。
それでは今回もレポートスタートです!
1、レシピのルール
レシピのルールはとても簡単なので、公称の対象年齢は4歳からとなっています。実際にやってみると、小さい子どもでもすぐに遊び方を理解して遊ぶことができます。とはいえ、書いてあるルールを読んでみて、理解してやってみるのとは違います。
実際、今回はレシピの遊び方を既に知っている子どもが数人いましたが、ルールを読んでみると正しく理解していなかったことがあったようでした。
レシピは、特定のカードの組合せを1番最初に手元に集めることができれば勝ち、といういわゆるセットコレクションというゲームの仕組みを使ったゲームです。
自分の番になったら、
1、自分が持っている手札の材料カードから、あらかじめ配られたメニューカードに書かれていない(いらない)カードを捨て札の山に表向きに出す
2、材料カードの山から1枚カードを引く
を行い、これを繰り返していきます。
自分のメニューカードには6枚の必要な材料が書かれていて、これを基本的に上にあげた手順で集めていくのですが、このゲームを加速し、面白くしているのが次の「レシピ」宣言です!
他のプレイヤーが不要として、捨て札にすてたカードが、もし自分のメニューを完成させるのに必要だった場合、「レシピ」宣言をすることでそのカードを得ることができます。
カードを得たプレイヤーは、レシピでカードを得る代わりに自分の持っている手札からまた要らないカードを捨て札に置くことになります。
このカードがまた他のプレイヤーにとって必要なカードだったら・・・そうです。レシピ宣言が連鎖していきます!このゲームは、この連鎖が進むことで、ゲームが終了に向けて加速するようになっています。
ちなみに、レシピ宣言を複数のプレイヤーがした場合、対象のカードを出した人から順番が1番近い人が優先的にカードを得ることができるのですが、この点について、「1番早く「レシピ」と言った人がGETできる」というローカルルールでプレイしていた子どもたちがいたようです。このルールはこのルールで、より捨て札に注目しなくてはならなくなり面白そうだなと。
ちなみに今回は、書き下したルールにおいて「ゲームの終了と勝利条件」を書きませんでした。これは前回と同様子どもたちに注意深くルール読みをしてもらうための工夫です。
ちょっとしたヒントとして、「いつも書いていることを書いてないよ!」ということを伝えると、子どもたちが自分で勝利条件が書いていないことに気づきました!素晴らしいですね。ルール読みを通して、ボードゲームのルールの構造が少しずつ理解できてきたかなと思います。
2、レシピをプレイ!
ルール読みが終わったら、早速子どもたちにレシピをプレイしてもらいました。さすが、ルールを元から知っている子どもたちはとてもスムーズにプレイしていました。
とはいえ、ちょっとしたプレイミスもありましたので、それをご紹介します。
このゲームでは、自分の番になったら基本的に、まずは、「カードを捨てる」、そして「カードを取る」という行動を繰り返します。ところが、「レシピ」宣言をすると、その順序が逆になり、「カードを取る」、そして「カードを捨てる」というようになります。
この点が子どもたちの混乱を招いたようでした。考えてみると、全く反対の行動順なのですが、どちらも最終的に「カードが得られる」という得の方に目がいくため、特に「レシピ」宣言をした後に「カードを捨てる」ことを忘れてしまいがちでした。
本来は自分の手札として残っている材料カードの枚数と、キッチンカウンター上に出している材料カードの枚数を合わせると、ちょうど6枚になるはずなのですが、それが7枚や8枚になっている子どもが見られました。
このようなことはデジタルゲームでは起こらず、やはりボードゲームならではのことかと思います。もちろん、そうなってしまわないようにその子ども自身が気をつけることでもあるのですが、周りの子どもも注意を払う必要があったのだと思います。そのため、子ども本人のみならず、そのグループ全体に対して注意を払うことを促しました。
ゲームのルールを成立させていくというのは、共同作業なのです。プレイミスがあったら、気づいて指摘するのもプレイの一部です。自身がルールを理解するのはもちろん、「ルールを理解したことを共有して、お互いに成り立たせていく」のがボードゲームの良さであり、難しさかもしれませんね。
あとは、カードを自分のキッチンカウンターに「表向き」「裏向き」に置くということもよく間違ってプレイしている子どもがいました。これに関しては、どうして「表向き」ではダメで「裏向き」なのかについては、単にルールをなぞるだけでは理解しにくかったと思います。ゲームから得られる体験を考えると、「なるほど、だから裏向きで置くのか」ということがわかる(理解できる)のですが、ゲームデザイン的な視点でゲームを捉えることについては、もう少しゲームの経験値が必要そうです。「どうして?」ということを少し子どもたちに考えてもらう時間をとっても良かったですね。
3、レシピからの学び
さて、今回の学びのテーマは「食」についてでした。冒頭に子どもたちに「好きな料理」を尋ね、その料理に使われている食材をあげてもらいました。
これを見ると、割と普段から食材に興味を持って生活をしているんだなということが感じられました。レシピのゲームプレイ後には、今回のゲームプレイで配られたメニューの完成に必要な具材をあげてもらうクイズを行いました。
普段から慣れ親しんだメニュー(カレーなど)についてはスラスラと思い出して答えることができていましたが、さすがに外国のメニュー(フォーやケバブなど)は頭を悩ませていました。とはいえ、「食」を通して他の国の文化に触れられる体験になりました。
左の2枚の写真は、今回のゲームプレイで子どもたちが実際に作ることを目指したメニューです。右の写真はどんなメニューを作ろうとしているかわかりますか?
最後に、「レシピ」におけるゲームプレイのコツを子どもたちに尋ねてみました。すると、すぐに「他の人がどんなメニューを作っているかを気にする」「他の人が捨てたカードをよく見ておく」という答えが返ってきました。想定していた答えそのままだったのでとても感心しました。
上の2つのことは、いずれも他のプレイヤーを意識するということに通じています。低学年のうちは自分のことに精一杯のプレイになるので、なかなか難しいことではありますが、徐々に意識できるようになるといいなと思います。そうすると、途中であげたプレイミスも少なくなるのだと思います。
ちなみに最後に「カレー」に関するちょっとした雑談をしました。皆さんのおうちのカレーは何肉が使われていますか?子どもたちは圧倒的に牛肉でしたが、お住まいの地域によって変わるものの代表ですね。このような多様性についても知る機会になったかなと思います。
次回予告
次回も「食」というテーマでゲームをプレイします。取り上げるのは、「サラダマスター」です。
実は、今回と次回はこれまでのレッスンでの学びと質が異なっています。ゲームの学びの分類はいくつかありますが、「ゲームで体験できるプロセスからの学び」と「ゲームに内包されている知識の学び」と大別した場合、今回と次回は後者になります。ゲームを使って特定の知識を学ぶのも、「楽しさ」があるからこそ定着が良くなるということを子どもたちの様子からも感じられます。
次回も普段は意識しないけれど大切なこと、知識を学びたいと思います。次回もぜひお楽しみに!
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