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サイコロ塾レッスンレポート:分析!ニムト編

こんにちは!前回に引き続きボードゲームをプレイして、分析していくということをしていきます。

10月2回目に取り上げたゲームは「ニムト」です。BGA(オンラインでできるボードゲーム)ではもちろん、初めてボードゲームに触れる方がほとんど通過するであろうゲームです。

前回からお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、「分析」のフェーズはしばらくルール量が少なく、プレイ時間も少なめのゲームを扱っていく予定です。

そして、もう1つ。前回の「ハゲタカのえじき」と共通するメカニクスを探ることをレッスンの中心に据えてみました。前回のレッスンはコチラからどうぞご覧ください。

それでは、レッスンレポートスタートです!


1、ニムトのルールを読んでプレイ!

いつものように、ルール読みからスタートしました。

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通常この後、子どもたちでルールの担当箇所を決めるのですが、驚いたことに小学1年生の女の子が1番難しい部分に果敢にチャレンジしていました。

「ニムト」において、理解が難しいルールはやはりカード配置のルールです。

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ちょうど上の図でカードを配置する部分なのですが、そもそも小学2年生の女の子が「わかんない」と匙を投げていた部分(大人でも直感的には理解しにくい)に挑戦しようとしていて、「その意気や良し!」ですね。他の上級生たちの手を借りながらではありますが、プレイを成り立たせることができていました。

こうして、今後も、「ルール」を「何がなんだかわかんないもの」ではなくて、「噛み砕いていくと、理解することができるもの」というふうに感じてくれると良いなあと思います。そして、それに大事なのは上で小学1年生の女の子が見せてくれたようなチャレンジ精神、主体性ですね!

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一度、処理の仕方がわかってしまえば、子どもたちにクイズという形式でカードを配置する場所を都度尋ねても配置する場所を間違えずに答えることができていました。途中で獲得したカードと手札を混ぜてしまうといったプレイミスも少しはありましたが順調に進みました。

今回、プレイ中に子どもを叱ることがありました。それは、「カードを考えて選ばずに1枚選ぶ」という行為を子どもがしたからです。ニムトでは確かにある一定まで考えたところで、これ以上は「考えても他の人次第」という部分が大いにあります。とはいえ、自分の手札の中身さえ見ずに上から1枚を選ぶという行為については注意せざる得ませんでした。ここは物議がある部分かと思いますが、少なくともサイコロ塾では「勝つために考える」ことを推奨しているので、このように子どもたちに関わりました。

ときに子どもの中には、「勝とう」という気持ちとは逆に「意図的に負けてやろう」「負けたい」という態度を取る子どももいます。これは、「負ける」ことのショックを事前に和らげたい気持ちや、単なるひねくれという場合もありますが、一緒にゲームをプレイしている他の人からしてみるとあまり気持ち良くないことです。「勝つ」も「負ける」も放棄して適当にプレイするという態度を取られることは、少なくとも僕は気持ち良くないです。

普段、子どもたちがどのようなプレイングをして(どんな戦略を取って)もあまり口出しはしないようにしているのですが、サイコロ塾の目標の1つに「もう一度、この人と一緒にゲームを遊びたいと思われる人になる」があり、上のような行為はこの目標に対して悖る行為だと感じたので注意をしました。

子どももその後はちゃんと自分のカードを見て考えて出すようになりましたが、そもそも「ゲームに勝ちたい」という気持ち自体を持たせることについては、どこまで介入できるか難しいところですね。

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さて、ニムトのプレイングで特に大事なのは、「自分のカードが何番目に配置されることになるのか?」「そのときどのような盤面になっているか?」を考えることです。

子どもたちを見ていると、上級生になるほど自分の出したカードが何番目に置かれるか、そのときに引き取らなきゃいけないか、それとも安全かなどを気にしながらプレイできていました。一方で、1年生や2年生は引き取った場合に失点となる「牛の数」に注目して出すカードを選ぶというようなプレイングをしていました。これはこれで面白い視点だなと思います。まるで、切り札かのように「失点の高い牛カード」を大事に手元に持って、後半に出していく、というのはルールに対する理解の不確かさとも言えますが、「誰かを陥れよう」という子どもたちなりの考えでもあり面白かったです。

そして、意外にも勝ったのがそこまで深く考えずに出した(全く考えていなかったというわけではなく、「ゲームに対する読み」の量が上級生よりも少ない、ということです)2年生の男の子だったというのが、このゲームを端的に表しているなと思いました。


2、ニムトを分析しよう!

後半は「ニムト」を分析します。子どもたちには前回同様分析シートを配って、記入していってもらいました。

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今回写真を載せたのは、小学2年生の男の子がニムトについて分析したシートです。初め、「楽しかったところ」は白紙でした。この男の子は、なかなか思っていることを言語化することが難しかったり、そもそも「考える」という行為が何をすることかというのがピンときていない様子でした。そこで、「なぜ?っていう理由を書く」「ゲームのルールのどこがっていうところを書く」「気持ちを書く」など細かく、どうやって(How to)を誘導していく形で進めました。

それでも、うんと時間はかかったのですが、最終的には上のようにしっかりと自分の言葉で書くことができたかなと思います。

「分析」と難しく書いていますが、要は自分がどんな気持ちになって、その気持ちになったゲームのルールを紐づけていく作業だと思っています。「楽しかった」という気持ちが「最後に0点だったこと」、そして、それは「運」によるものだったこととたどり着いたのが素晴らしいです!

大人でさえ言葉にするのが難しいことにチャレンジしています。子どもたちはすごいことをしていますね。


3、「ハゲタカのえじき」と「ニムト」を比べよう!

前回は「ハゲタカのえじき」、そして今回は「ニムト」をプレイしましたが、この2つはあるメカニクスを子どもたちに考えてもらうために意図的に選んできたものです。

そのメカニクスとは「カードの裏向き選択→一斉公開」というものです。10月のゲーム分析のまとめとして、2つのゲームを比べながら子どもたちに共通点をあげてもらいました。

子どもたちからは、「プラス点とマイナス点があること」「数を使っていること」「カードを使うこと」「ドキドキする」など、メカニクスに関することや、プレイ中の気持ちに関することなどさまざまな意見が出されました。

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最終的には、共通点として「カードの裏向き選択→一斉公開」を紹介し、それによってどんな良いところがあるかを子どもたちに考えてもらう時間としました。

面白かったのは、「一斉に公開するから、ズルをすることができない(防げる)」という意見でした。確かに、みんなが見ている中で選んで公開するので、後出しジャンケンのようなズルが防げるというのは、(普段から色々な場面で「ズル」に敏感な)子どもならではの視点だなと思いました。

子どもたちの意見の中には、「ドキドキする」「盛り上がる」などのように的を射ているものもあり、上記のメカニクスの良さをわかってもらえたかなと思います。

共通点を見つけ、長所・短所を見つけていく作業は、個々具体のボードゲームのルールから特徴を抜き出して「抽象化」をすることになるので、かなり子どもたちにとって力になることかなと思います。来月も同じように進めるかは未定ですが、これが良い体験になっていればと思います。

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次回予告

11月も引き続きゲームをプレイし、分析していきます。11月はゲームデザインをする上で考えておくべき、ある概念を体験して、言語化していくレッスンをしようと思っています。

それでは次回のレッスンレポートもどうぞお楽しみに!

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