サイコロ塾レッスンレポート:ナンバーナイン編
こんにちは。7月は引き続き「計算」というテーマでレッスンを行っています。
今回プレイしたゲームは、タイル配置のパズルゲーム、ナンバーナインです。計算は最後にしか登場しませんが、数の形に注目することが必要になるため空間認識力などが鍛えられそうです。
それでは、今回もレポート開始です!
1、ナンバーナインのルールを読む
ナンバーナインは、これまで「ルール読みをしてからプレイする」という方法に切り替えて体験してきた中では、比較的ルール量の少ないゲームです。しかも、プレイヤーそれぞれの「手番」という概念がなく全員同時進行でゲームが進む点が他のゲームと異なります。
子どもたちは、「手番(自分の番)」という概念がないことについて少し戸惑いはあったようですが、ここまで数回のルール読み体験を通してかなり理解力が上がってきているように感じます。そろそろ次の段階かな?
写真は、ルール読みの後に子どもたちに確認したことを書いたところですが、ゲームプレイにおいて押さえておくべき大切な事項である「プレイヤーが何をするか?」「どうしたら点数が取れるか?」「終了条件、勝利条件」を文章の中から見つけ出す習慣が少しずつついてきているかなと思います。こうやって、ゲームというある程度構造がしっかりしたものに対する文章を読むことで、未知の文章を読むときの道標を自分の中に作っていってもらえればいいなと思います。
2、1回目のプレイ
ルール読みが終わり、コンポーネント(ボードゲームの用具)を渡されると、すぐさまルールの用紙を見ながら子どもたち自身でゲームプレイを進めていきます。
1枚目の数字タイルを置いたところで早速一旦子どもたちの手が止まります。1枚目はゲームの性質上どこにどんな向きで数字タイルを配置しようとOKなのですが、2枚目からは少し配置のルールが加わるからです。
<ナンバーナインの配置ルール>
・すでに置いてある数字タイルと1辺を隣接させる
・2段目以降に数字タイルを置く場合、下の段に空白がある場所には配置できない
・2段目以降に数字タイルを置く場合、2枚以上の数字タイルに重なるように配置する
簡単そうに見えて、実は結構この制限が効いていてなかなか思うように数字タイルを配置できなかったりします。
子どもたちも、2枚目、3枚目くらいまでは難なく置いていけるのですが、いざ2段目に数字タイルを置こうとするときに、制限の存在を忘れてしまっている子が多かったです。
一応、「できるだけ隙間ができないように」という直接的ではないアドバイスをしてはいましたが、意図に反して配置制限を破ってしまっている子どもがいました。
これはあとで気づいたことですが、数字タイルがゲーム中、固定されておらず簡単に動いてしまうので、子どもたちの小さな手ではあっても取り回しがしづらい場面があるようでした。何かのきっかけで崩れてしまうとどこに置いてあったかがわからなくなってしまい、元に戻す際に結果として配置制限を破ってしまうことがありました。今後、ナンバーナインをする際は気をつけたいところです。
それとは別に、今回は明確な「ルール破り」の場面にも遭遇しました。意図と反して、配置のルールが守れていない(点数計算時に計算に入れない)ことは仕方ないこととして、それとは別に、一旦置いた数字タイルを後の数字タイルを置くときに動かしていた子どもがいました。
ナンバーナインは、先にも書いたように見た目以上に配置の制限が厳しいです。点数を取るためには、タイルを置く順番が重要になり、こっちのタイルが先に配置できていれば!という場面もよくあります。そのため、子どもが後になってすでに置いてあったタイルを都合よく動かしたくなる気持ちもわかります。とはいえ、数字タイルを後になって自由に動かして良いことを認めるのは公平性を欠くことになります。今回は、きちんと子どもたちへ配布したルールにも書いてありましたので、ルール上良くないこととして注意をしました。
今回はルールに明示されていたことでしたので認められませんでしたが、こういうふうに「勝つ」という目的を果たすにあたって、ズルとは言わずともルールの穴を見つけ、利用することを考える場面が今後出てくるかもしれません。
サイコロ塾では「ルールに対する態度を身につける」ことも1つの大きな目標になっていますので、そうした場面で倫理や道徳に基づいた判断(こういう場面ならOKとか、ここまでのルールの拡大解釈や逸脱ならOKとか)ができるように子どもたちに働きかけていければと思います。
とはいえ、今回のこの出来事をネガティブに捉えているわけではなく、ルールを理解したからこそ、あるいは勝ちへの動機付けが高まったからこその行動だなとも一方ではポジティブにも捉えました。
2、1回目のプレイの得点計算と2回目のプレイ
さて、少し苦戦をしながらも1回目のプレイが終わり、得点計算を子どもたちにしてもらいました。
今回も「キングドミノ」の時と同様に計算シートを準備したので、シートにしたがって計算をしていきます。
計算式自体はそこまで難しくないのですが、たくさん計算しなければいけないこともあって、十分な計算の実践練習になったかと思います。
得点シートの写真を見ていただくとわかりますが、なんとか3段目までに数字タイルを置けた子どもがいましたが、4段目となると1回目では到達できた子どもはいませんでした。
ナンバーナイン自体、「20枚の数字タイルを置ききったらゲーム終了」というわかりやすいかつ簡潔なゲームプレイとなりますので、子どもたちからは早速再戦の希望があり、2回目をプレイすることになりました。
「もう少しこうしたら、点数が増やせそう!」「この数字はできるだけ上に置きたい」という声が自然に上がっていたのはとても良いことだなと思いました。また、1回目に自分も同時にプレイしていて、最高得点を取ったのですが、その理由として「4段目に数字タイルを置けた」ことを説明する前に自分たちで「4段目は×3になるから先生は4段目に置いたんじゃない?」と気づいていました。このゲームにおける点数計算の仕組みもきちんと学べたようです。
2回目のプレイでは、「0」を早々に2枚配置せざるえなくなったりということはありましたが、1人の子どもが4段目に「7」の数字タイルを配置できていて、1回目の自分の点数と比べて大きく点数を伸ばしたことを喜んでいました。
他の子どもたちも1回目より点数が改善している子どもが多く、レッスンの中でゲームの構造を掴み、コツを実践できた体験になったのかなと思います。
次回予告
8月は「運」の要素が組み込まれたゲームをプレイしていきます。「運」というと取り付く島がないように感じている子どもも多いと思いますが、そうした中でもできる限り確度の高い選択をしていくためにどうしたらいいのか、ということを考える時間になれば良いかなと思います。
取り上げるゲームは、「ウミガメの島」と「インカの黄金」の予定です。
それでは次回のレポートもぜひお楽しみに!
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