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サイコロ塾レッスンレポート:キングドミノ編

こんにちは。7月のサイコロ塾は「計算」ということをテーマにレッスンを行いました。

1回目にプレイしたゲームは「キングドミノ」です!キングドミノについても以前にnoteで取り扱ったことがありますが、今回はまた違ったテーマで取り上げてみました。「学び」という観点で、色々な側面から取り扱えるのでボードゲームってすごく良いですよね。

それでは今回もレポートスタートです!


1、まずはルール読みから

サイコロ塾では前回のレッスンから、「自分たちでルールを読み込んで、プレイを成立させてみる」ということにチャレンジしています。

今回も前回同様、まずは子どもたち用に書き下したルールを読んでもらいました。ここで、前回ルール読みの時間にほとんどルールに目を通さなかった子どもが若干態度を変えて、ルールを読む姿が見られました。

キングドミノnote用1

前回、前々回と指を加えて他のグループがプレイしているのを見ている時間ができてしまったのが悔しかったでしょうか。ちょっとでも「理解しよう!」という主体性が出てきたのはすごいことですよね!まだまだ、他の人に「おんぶに抱っこ」という状態の子もいることも確かですが、難しいなりに読み進めていこうという姿勢が少しでも育っていけばいいと思います。


2、キングドミノをプレイ!

子どもたちを2つのテーブルに分けてプレイを開始し始めました。一方のグループは、3年生の男の子が中心になって準備〜プレイ開始ができている様子。ところが、もう一方のグループは、「えっと・・・」「なにからするの??」という状態でした。

ルール読みの段階で、自信満々に「読んだ」と言ってはいたものの、やはり「読んで理解する」(もっと言えば理解したことを使う)ことと、ただ「読む」ことは大きく違うということがわかります。結局、再度ルールを読み直しながらプレイを成立させていくことになりました。

キングドミノnote用2

また、それ以前に気づいたこととして、僕自身の反省点になりますが、子どもたちに渡すルールを簡潔に書くべきでした。複文や入子構造、並列する文の構造が子どもたちの理解を妨げているのかもしれません。今回は図を多用したのですが、そもそも文と図の対応関係(特定の文が特定の図と対応するものということ)がわかっていないと理解の助けにならないということがわかりました。話し言葉と書き言葉の違い、聞いて(見て)わかることと読んでわかることの違いが、子どもたちというレンズを通して見えてきたように思います。反省。次に活かします。

さて、そういったルールの書き方のまずさから起こしてしまったこととして、もう一方のテーブルでちょっと奇妙なことが起こっていました。

キングドミノnote用3

キングドミノでは何度も聞こえるはずのない「ジャンケン」の掛け声が何度も聞こえてきたのです。子どもたちの様子を見ていると、ドミノタイルを並べて、自分の王国に配置するごとに再度ジャンケンを行って、自分の好きなタイルを選び直すということを繰り返していました。キングドミノでは、ドミノタイルを裏に書かれた数字が小さい順に並べます。小さい数字のドミノタイルを選んだ人から順番に自分の王国にそのタイルを置き、そして、次のドミノタイル群から好きなタイルを選べる、というルールになっています。価値の高いタイルを選ぶほど、次にタイルを選ぶときに自分の順番が回ってくるのが遅くなるというジレンマがキングドミノの最高に面白いところです。(実際、このジレンマにゲーム中気づいて楽しんでいた子どももいました)ところが、先のテーブルの子どもたちは、毎回選ぶ順番をジャンケンで決めていたので、このジレンマに気がつかずゲームの肝を味わうことができていませんでした。

こういうことは子どもたちだけのことではなく、ボードゲームを遊ぶシーンではよくあることかもしれません。制作者が意図した通りに遊んでもらうことで、そのゲームで体験してほしい「ジレンマ」や、そのジレンマからくる楽しさがあるのですが、そこに行き着けないこともままあります。

今回はいったんは最後まで子どもたちに、子どもたちが「読んで理解したルール」でプレイをしてもらい、2回目のプレイ時に訂正をして遊んでもらいました。正しくルールを運用することで、ゲームがグッと面白くなるという体験を子どもたちができて、かえっていいレッスンになったのではないかと思います。


3、得点計算をしよう!

キングドミノの得点計算は単純明快です。自分の王国に置いた地形タイルに王冠が描かれているタイルがあった場合、

(王冠が描かれている地形タイルが繋がっている正方形の数)×(その繋がっている部分に描かれている王冠の数)

が得点になります。これを森や海などの地形ごとに計算していき、その総和を競い合います。

四則計算を身につけた大人であれば、計算表のようなものがあればパッとできるような計算ではありますが、子どもにとっては一大事。何しろ、昨日今日覚えたて、あるいは学んですらない計算方法を使うわけですから。といっても、そこはゲーム。自分のプレイがどうだったか気になるという気持ちで、楽しんで計算に取り組んでくれました。

キングドミノnote用4

個人的な考えにはなりますが、「計算」を学ぶとき、それを実生活のどんな場面で使うかということを言葉で伝えても、子どもたちにわかりにくいのかなと思います。買い物をするにしても基本的に計算自体はレジがしてくれますし、お釣りの計算をする機会もキャッシュレス決済によって減っています。「ゲーム」の中での計算は、仮想ではありますが勝負に関わるので真剣になりますし、そうならざるえない場面です。ちょっとでも間違っていたら、負けてしまいますしね。楽しさの中で必要性が生じたなら、決して今はまだ学んでいないことでもチャレンジしていって良いと思っています。1年生は掛け算はおろか足し算も覚えたてくらいです。それでも果敢に点数計算にチャレンジしていけるのは、ゲームの力あってこそではないかなと思います。


次回予告

次回も引き続き「計算」をテーマにボードゲームをプレイします。取り上げるのは、「ナンバーナイン」です。こちらも足し算と掛け算が登場するパズルゲームです。

パズル部分での楽しさもあるゲームで、比較的短時間で終わるため、何度かプレイできたらと思っています。

それでは次回もぜひ読んでください!

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