BOUQUET制作に込めた想い:後編
この記事では、2022年11月1日よりKickstarterにてクラウドファンディングを開始する「BOUQUET(ブーケット)」のゲームシステムについて書きました。制作の経緯については、前編をご覧ください。
ブーケットでは、ターゲットを「普段から思考時間や深度の少ないゲームを楽しんでいるプレイヤー」と設定し、その人たちが「じっくり考えるのが楽しい」「計画がうまくいった」といった体験をできるようなゲームデザインを目指しました。
それをどう実現しているかを紹介していきます。
このnoteが「ブーケットのプロジェクトを支援してみたいと思っている人」に届いていれば幸いです。
現在、プロジェクト開始前の事前登録ページをオープンしています。
本noteを読んで「支援したい」と思っていただいた方はぜひ登録をお願いします。
3つから1つを選ぶ明快なアクション選択
ブーケットでは、自分の手番ごとに3つのアクションから1つを選ぶことでゲームが進行していきます。
アクションは、「種まき」「水やり」「出荷」です。
これらのアクションは、現実の「花束づくり」からイメージできるものにすることを心がけました。種タイルを獲得することや、花チップを種タイルの上に置くことなどはゲーム中に頻発することですが、現実の花を咲かせる行程をそのまま模しているので、誰もがアクションの効果をイメージしやすいと思います。
アクションの選択肢は少ないのですが、それぞれに「どの種を取ろうか?」「どこに水やりをしようか?」「どの花束カードを達成しようか?」と考えどころがあります。
また、それだけではなくて、「どのアクションを先にするか?」ということでも他のプレイヤーとの駆け引き、ジレンマが生じるようになっています。例えば、必要十分な数の花だけを揃えて花束カードを獲得するという戦略や、手元の畑ボードに大量の花を咲かせてから一気に花束カードを獲得するという戦略も取れるようになっています。
長期的な計画性を立ててゲームを進めることに慣れていないプレイヤーでも、ひとまず自分が達成したい花束カードを決めて、それに向けて地道に必要な花チップを集めることができるようになっています。
一方、後者のやり方は管理する花チップが多くなり、対応する花束カードもゲーム展開によって入れ替わるので上級者向けのやり方ではありますが、一気に花束カードを獲得するのは爽快感があります!
シンプルながら悩ましい混色パズル
アクションは直感的で、シンプルではありますが、思いのほか深い思考が求められるのが、手元のタイル配置による種の交配です。
種の交配は、色の混色の法則にしたがって、2つの種タイルを挟んだ真ん中のスペースに対応する種を生み出すというシステムになっています。
絵の具の混色と対応しているので、法則はすんなりと理解できると思うのですが、狙ったタイミング、場所に自分が欲しい混色の種タイルを生み出そうと思うと、かなり綿密な計画性が必要になってきます。かなりじっくりと自分の畑ボードに向き合う深い思考体験ができることでしょう。
ジレンマたっぷりのフラワーアレンジメントショップの活用
全プレイヤーに影響する要素として、「フラワーアレンジメントショップ」の存在があります。
これは、「出荷」のアクションをした際に、「余ってしまった花チップを寄付する」というフレーバーで、花チップを置いていくと、種売り場に混合色の種が登場するようになるというシステムです。
実は、このシステムは初期の段階からしばらく経ってから追加で実装されたメカニクスです。
何度かテストプレイを繰り返していると、「出荷」によって花をストックに戻すのが「勿体ない」という声が聞かれました。
確かに、せっかく育てた花をゲーム上での体験であれ、「捨ててしまう」のは忍びない・・・
そこで登場させたのが、このシステムです。
(ちなみに、初期の実装では「ドライフラワー屋」という名称でした)
とはいえ、単純にフラワーアレンジメントショップに花チップを置いたプレイヤーに利益があるだけという実装を避けました。そうすることで、これはこれでプレイヤー全員にとって「良いこと」には繋がるのですが、必ずしも「自分のため」になるわけではないというジレンマを感じられるようになっています。
*さらに、現在のルールではフラワーアレンジメントショップにたくさんの花チップを置くことで、置いたプレイヤーに直接の利益があるようになっています。
花束カードの効果のシナジー
ブーケットでは、花束カードに「即時」「永続」「終了時」という3つの効果があります。
上の例ではno.003のカードで「青の花チップの出力を上げる(永続)」ことで、no.032の「青の花チップ2枚を紫または緑または水色の花チップ1枚として出荷できる(永続)」をしやすくすることができます。
このようにいくつかのカード効果の中にはシナジーを持っているものがあり、それを発見・活用することで、ゲーム中に拡大していく喜びや、それをうまく見出せた成長感に繋がります。
もちろん、いつもそれらのカードを獲得できるとは限りませんが、シナジーのあるカード同士を活用できたときは、勝利とは別に嬉しくなります。
終了に向けて華やぐ盤面
ゲームシステムとは若干別の観点からの話になりますが、ゲームプレイ後に盤面が華やかになることを意図しました。
花チップは、いわば「資源」の扱いのため、目標となる花束カードを達成すると、その花束カードさえ残しておけば、ゲームの進行上は問題ありません。
そこをあえて、カードの上に花チップを残して置いておく、としたのは、ゲーム終了後にも「こんなにたくさんの花束を作った」ということを遊んでいただいたプレイヤーの皆さんに感じてほしかったためです。
実際、9種(金色も合わせると10種)もの色とりどりのお花で作られた花束カードを手元に置いておくのは、すごく満足感があります。
ブーケットはどんな人におすすめか?
「種から花を育てて、花束を作る」というフレーバーを抜きにして、ゲームシステムの点からどんな人におすすめかを書くと、
『キャリコ』や『くだものあつめ』など、プレイヤーの手元でじっくりとパズルに取り組むことが好きな人には絶対にハマるゲームです
『センチュリー:スパイスロード』のカード同士のシナジーをうまく活用していく体験が好きな人は、ぜひブーケットでもシナジーを探してみて欲しいです
『ワイナリーの四季』のように、長期的な計画を練って、一気に出力する爽快感が味わいたい人は花束カードの複数枚達成を狙ってみてください
フラワーアレンジメントショップのシステムは、自分の利得が他者の利得になります。この独特のジレンマを体験してみたい方はぜひ!
遊ぶごとに成長が感じられるゲームです。プレイごとに発見があるので、繰り返し1つのゲームをプレイする人におすすめします
説明書
google driveに公開しました。(2022年11月2日追記)
終わりに
後編を読んでいただきありがとうございました。
読んでいただいて、制作の経緯やきっかけを知りたいと思っていただいた方はぜひ前編をお読みください。フレーバーの設定理由など書いています。
また、現在(執筆時)ブーケットはKickstarterページを公開しています。
ぜひそちらも覗いてみてください。
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