『90歳。何がめでたい』は、90歳の、90歳による、90歳のための映画
記事の概要
✅映画『90歳。何がめでたい』を観に行ってきた。
✅映画のポイントは、主演の草笛光子さんが90歳であること。
✅「人生100年」が、現実化していることを実感した。
そもそもの話
映画は、めったに行くことはないのです。が、とあるクレジットカードに貯まったポイントの主たる交換商品が映画のオンラインチケットしかなかったわけです。しかも、ポイントには使用期限がありました。といった事情をふまえ、『90歳。何がめでたい』を鑑賞することになりました。
レポート
平日の昼過ぎというスキマ時間を利用して、のんびり鑑賞するつもりだったのです。が、予想に反して、かなりの盛況でした。混んでいました。高齢女性による3人〜5人組のグループが多数、鑑賞に来ていたのです。
映画は大劇場で観なければならない特撮や特殊技術が使われているわけではありません。仲良しグループで鑑賞した人たちには、適度な長さのホームドラマとなったようです。そのため、グループごとの雑談が止むことはなく、「騒々しい」と表現せざるを得ない事態となっていました(笑)。居間に友人を招いた状態と化していたわけです。
90歳の
原作は、作家の佐藤愛子さんが90歳の時に書いたエッセイです。佐藤愛子さんご自身は、すでに100歳を超えています。が、今も現役で、2024年6月に行われた映画のトークイベントにも、メッセージをおくっています。
90歳による
主演の草笛光子さんは1933年生まれですから、2024年7月現在、90歳です。90歳の女優が、90歳の作家の日常を演じたわけです。トークイベントの動画で唐沢寿明さんが言っているとおり、記録的な偉業に他なりません。多数のハードルがあったことは容易に想像できます。
✅並外れた気力・体力。
✅長いセリフを覚える記憶力。
✅撮影期間中の健康状態の維持。
など。
90歳のための
当日、同じスクリーンを観ていた人に90歳くらいの人がいたかどうかは不明です。が、ウチのご近所にも90歳を超えて元気な人はたくさんいます。
90歳の女優さんが主演する映画が公開されたという事実だけで、高齢の人には励みになるに違いありません。映画を鑑賞するために集った人たちは、必ずしも映画ファンや読書家といった属性ではなかったのかもしれません。
健康で長寿である原作者や主演女優にあやかりたいという心情での映画鑑賞だったのかもしれません。つまり、お参りや参拝に似た動機(笑)。
人生100年
人生100年というのは、単なるスローガンではなくなりました。佐藤愛子さんは、すでに100歳を体現されています。主演の草笛光子さんが、急に大病を患うとは予測しがたいです。
ちなみに、娘役の真矢ミキさん。編集担当役の唐沢寿明さん。ともに、映画公開時の実年齢は、60歳を超えています。
黒澤明監督『生きる』では、主人公である定年近い市役所課長がガンを患って亡くなります。50代前半の設定でした。当時、定年が55歳。公的年金の支給開始も55歳でした。主演の志村喬さんは映画公開当時、47歳でした。
『90歳。何がめでたい』と『生きる』というふたつの映画で主演を演じた役者の実年齢は、およそ倍近いのです。