喜怒哀楽を許容する社会と風潮。
■ホーチミンの公務員43%は転職を希望。
・最近のニュース、「ホーチミンの公務員43%は「低収入、業務の高負担、昇進機会の欠如」等の理由に「機会があれば転職を希望」。
・ホーチミン市人民委員会が発表した調査結果は「市内の1万2869人の公務員と7万6601人の職員を対象に実施されたアンケートで職務に対する不満が明らかになった」。
・同調査では「75%以上の公務員が業務量を『多い』または『非常に多い』と評価し、業務負担の高さが定着率に悪影響を及ぼしている」。特に「基礎自治体である区・町・村の公務員は80%超が業務量過多を訴え、給与の低さや人員不足も重なって離職意向が高まっている」という。
■しかし、70%が現職の人間関係に満足。
・一方「職員の意識調査では70%が現在の職場での人間関係に満足しており、高収入のオファーがあっても転職しないと回答したが収入面での不満は依然として根強い」。また「約50%が公務での収入を妥当と見なしている一方で依然として多くの職場で人材不足や予算不足が課題」となっている。
・ホーチミン市は「公務員・職員の質を向上させるべく2024年から2030年にかけて『効率的で効果的な公務制度構築計画』を策定した」。同計画では「5つの施策が掲げられ、具体的には透明で公平な昇進機会の提供を目的に競争試験を通じた管理職の任用制度を導入するほか、リーダー育成のための研修制度も試験的に導入する」との事。
・また「職務遂行に不適格な職員の人員整理も進め、有能な人材に対する奨励・保護政策を行う方針である。更に公務員・職員の生活安定策として社会住宅への投資」も進めらている。
■エコノミック病。
・余談、私はベトナムビギナーだった頃、ベトナム在住歴が長い日本人や出張者や多くの諸先輩方は異口同音に「ベトナムの景色は4、50年前の日本と同じだね」と言った。ベトナムの主要都市のレストランでさえも、いまだに少年時代の記憶にある日本の山小屋にあったようなトイレも残るし、ベトナム人の年配の方々から素直そうな優しい笑顔を垣間見る機会も多い、また上述のように「公務員の70%が現職の人間関係に満足」ということからも、現ベトナムの景色は昔の日本の風景と重なるところがあるようだ。
・数ヶ月前読んだ書籍に「日本は明治時代から昭和初期にかけて外国人との交流が多くなった、日本を訪れる欧米諸国の外国人は『日本人はみんなニコニコして温かくお持て成しをしてくれて親切で礼儀正しい』という印象を持った」事が記述されていた。以前私の『note(豊かさと引換えに笑顔は薄れるか)』で書き留めたが、学校、仕事、時間に追われて日本は豊かになったけれど、それと引換えに心の余裕が失われ笑顔が薄れていく事を私は『エコノミック病』と勝手に名付けた。
・4、50年前に日本のサラリーマンを経験した人々の話を聞くと、終業のベルが鳴ると会社デスクの引き出しからウィスキーや日本酒を取り出しノミュニケーションの一環として同僚と会社でお酒を酌み交わしていたそうだ。当然全員ではないが現代のベトナムのサラリーマン、公務員等は夕方随分と早い時間帯から赤ら顔で既に出来上がっている、私はこれまで幾度となくそんな酒席を垣間見てきた。喜怒哀楽を表現する事は本来自然な事、ベトナムにはまだそれらの感情を許容する社会や風潮がある。完全に私の欲目なのだが、何十年経っても「ベトナムの人々はいつもニコニコしている」そんな景色は残り続けて欲しいと心から願うのだ。