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『ミッション:インポッシブル』説明過多なストーリーがアクションの迫力を削ぐ?『デッドレコニング PART ONE』

新宿バルト9/ドルビーシネマで鑑賞。
最高のスパイアクションアドベンチャーにまたひとつ傑作が加わった!

しかし、過去作品に比べると本作は正直微妙。
前回ただミッションインポッシブルが好きなだけなnoteを書いた私ですが、その思い経てもどうもスカっとしない7作目となりました。

特にネタバレを気にしないで感想を述べますのでご注意ください。

最高のスパイアクションアドベンチャーの最高級最新版

ご存知のオープニング前の変装マスクを用いた最高のイントロ。今回はマスクを脱ぐからの被る、と来たか!「これだよこれ」と思わず拍手!
バイクジャンプから着地の「待ってたよ」感は言わずもがな、列車の上の肉弾戦は1作目のリベンジを見事に果たしてる。
さらに、爆破された鉄道橋から谷底へ落ちていく列車の中を、特徴ある客車から客車へとトラブルをかわしながら飛び移っていくクライマックスは、さながらアクションゲームのような見せ場のつるべ打ちが続きます。

風呂敷広げ過ぎで説明することが多くなている

映画が始まってから感じるのは「珍しく大風呂敷を広げてるなー」という感覚。
冒頭から「世界中の軍事政治、民衆の情報に至るまでコントロールするAI」がターゲットとして登場するが、このAIの設定説明に冒頭から全編通じて多くの時間が使われており、これが長々しく煩わしい。
さらに、これらは登場人物のクローズアップカットの連続を繰り返しながら少々早口なセリフで説明されるため、聞き逃してしまうことへの焦燥感や、端々の思わせぶりなセリフに気付けるかと言う危機感も相まって、無駄に煽られる。「話の不備を気にさせないアクション」という評価も目にしたけど、それで収まらないレベル。『トップガン:マーヴェリック』の作戦説明の親切さが、いかにあのストーリーとアクションを加速させたか、と重要性を再認識してしまうほど、今回は上手くいってなかった。少なくとも「話が難しかった」と感じた人は多かったんじゃなかろうか。

俺たちは(説明を腹落ちさせた状態で)トムのアクションが観たいのだ。
なのに説明シーンは続き、後半は邪魔にすら感じてくる。
オリエント急行に乗り込んでからの列車シーン。話題のバイクジャンプに至るシーンのあいまに、また列車内の会話が挟み込まれる。いや、列車内の会話に、バイクで右往左往するイーサンがたまーに挟み込まれる。
ここでは、新登場の窃盗犯グレースの「金か、人としての誇りか」という葛藤が素晴らしい感情移入とともに描かれしているのだが、トムのアクションとの扱いはもう少し編集で整理するなど工夫が欲しかった。

トム・クルーズが「007」を意識している話は有名で、これまではうまく行っていたと思うが、今回はブロスナンボンドとクレイグボンドの両取りをしようとして取り切れなかった印象。ブロスナンからは世界感を、クレイグからは人間描写を取り込んでみたが上手くかみ合ってない、といった具合だ。

PART 2には「ローテクで全員集合」を希望

「ミッション:インポッシブル」は脚本のアラ探しをしなくていい程度の塩梅を保ったシリーズだったが、今回ややけに味付けにこだわってしまって、面白さの定まりが弱まった印象を受けた。
「これがPART1だから」という言い訳を有効にするためにも「PART2」に期待したい。

個人的に

  1. 世界中からイーサンと志を共鳴する末端スパイたちが大集合

  2. AIに対抗するため古いスパイ道具が大活躍

  3. NASAの廃れた技術の再利用で宇宙から反撃開始

  4. AIの誘惑にストレートパンチで応えるイーサン

辺りの展開に期待している。

イーサンの行動原理の危うさ

話が複雑化したことで「イーサンの行動原理」が掘り下げてしまい「正義とは」というミッション:インポッシブルらしくないテーマ領域に片足のつま先を突っ込んでしまっている気がするのは私だけでしょうか?

所属する米国も世界の中のイチ政府として否定しうる存在となりそうで、5秒後に消滅するメッセージの発信源が危うくなっています。

イーサンがこれからどこへ向かうのか。
デッドレコニング(推測航法)とはこの危うくなる行動原理に掛かっていたのかも。

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