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第二回 Touhou Goa Trance Family Vol.4を語る

今回取り上げるのはTouhou Goa Trance Family Vol.4(以下、TGTF4)です。

こちらの作品はPsyHegehog(サイヘッジホッグ、通称サイヘジ)氏の個人サークル『Touhou Goa Trance Family』が東方projectの二次創作として発表している、東方楽曲のサイケデリック・トランスアレンジCD、その6作品目です。

PsyHedgehog氏
https://twitter.com/Psy_hedge
m.soundcloud.com/psyhedgehog


はじめに

この記事では、東方projectとサイケデリック・トランスへの言及はほとんどしていません(それでもイメージに引っ張られている部分があるかとは思います)。直感的、感覚的な感想がほとんどです。私は東方、サイケ、どちらにも詳しくはないので、このような形式でのレビューになりました。

楽曲に対するファンアート……は流石に言い過ぎなので、正真正銘、文字通りの感想文くらいの気持ちで、気軽に、ただ作品の世界に身を委ねていただければ幸いです。

楽曲紹介

まずは楽曲の大まかな紹介をさせていただきます。

このアルバムは東方永夜抄の楽曲のアレンジを集めたものとなっております。

リグル・ナイトバグのテーマ『蠢々秋月~Mooned Insect』のアレンジ
1.『Ecstasy as Wriggle
Last Wordのテーマ『東方妖怪小町』のアレンジ
2.『Horai's hashish ballbranch
ミスティア・ローレライのテーマ『夜雀の歌声~Night Bird』のアレンジ
3.『Misty Mescaline
八意永琳のテーマ『千年幻想郷~History of the Moon』のアレンジ
4.『Dr.divinorum
上白沢慧音のテーマ『プレインエイジア』のアレンジ
5.『Shirasca
博麗霊夢のテーマ『少女綺想曲~Dream Battle』のアレンジ
6.『Little girl Shrine maiden's Dream battle
藤原妹紅のテーマ『月まで届け、不死の煙』のアレンジ
7.『Marijuana's Ash
5面道中曲『シンデレラゲージ~Kagome-Kagome』のアレンジ
8.『Divine Magic Missing Moon Teatime

以上の8曲が収録されています。

アルバムジャケットにもドストレートに描いてありますが、楽曲のタイトルは“とあるもの”に因んだものになっています。6曲目と8曲目は単語の大文字の部分を繋げると、“とあるもの”の名前が出てきますね。サイケ、レイブ・カルチャーに明るい方であれば、おそらくすぐに分かるかと思います。もちろん分からなくても大丈夫です。貴方はそのままでいてください。

Touhou Goa Trance Family Vol.4の世界

ここからは音楽そのものから直感的に受け取った、楽曲を通して語られるストーリーと、その世界の一部を書いていきます。

音源がお手元にない方は
是非クロスフェードデモと共に、お楽しみください。
(参考に各曲の再生開始時間を記載しております)

TGTF4ではサイケデリックな空気と東方Projectシリーズが描く幻想的な東洋のイメージが混ざり合った世界を旅することになります。
旅人となった貴方は、果たしてどんな景色を見るのか、またどこへ行くのか……

Have a Nice Trip!

私たちを出迎えてくれるのは、海岸線を昇る朝日と、グリーンを帯びた甘やかなグラデーションを感じさせるイントロが印象的なEcstasy as Wriggle;蠢々秋月~Mooned Insect(0:00~。鼓動を高めてくれるようなBPMは旅路を祝うかのよう。寄せては返す波のように、彼方から現れては消えていくメインメロディは、私たちを徐々に作品世界へと飲み込んで行きます。この心地良さはさながら微睡み。この曲から、夢の旅は始まっています。

甘い時間を抜けた先で待っているのはHorai's hashish ballbranch;東方妖怪小町(0:30~。イントロで差し込まれるボイスサンプリングは導きの声でしょうか。旅の案内人の声に誘われるままに進むと、先程昇った陽はその速度を増しながら傾き、沈んでゆきます。海岸線の先に、黄昏時の紫色を帯びたグラデーションを垣間見て、瞬きひとつの後に夜の色を見たならば、私たちの身体は空に浮かび上がっていることでしょう。

Misty Mescaline;夜雀の歌声~Night Bird(1:00~ではグッとアップテンポになります。ビートに合わせて胸の奥でうねる脈動に、身体は自然と熱を帯び始めます。スピードに乗り宇宙を疾走する私たちの横では、ネオンの残光のように星の光が尾を引いています。そのトンネルをくぐる様は、弾幕を掻い潜るのを想起させます。煌めく光。明滅する光。視界を白で支配する眩さの先にあるものは……

束の間の静寂の後、忍び寄る拍動と足音と共にDr.divinorum;千年幻想郷~History of the Moon(1:28~は始まります。二つの音に重なって奏でられるのは東方シリーズではお馴染みのタイトルテーマ。光の先にあったのは幻想郷……否、それは原風景。宇宙の始まりです。メインメロディが広がるや否や、その空気は一変します。うねるベースやメロは命の奔流、そのエネルギーの爆発を思わせます。ある種暴力的とさえ言えるような宇宙のパワーと共に踊れば、私たちを縛っていた重力からの解放を覚えるでしょう。

Shirasca;プレインエイジア(2:03~
でもその凄まじいエネルギーに飲み込まれ続けます。身体や意識は浮遊感や解放感を纏っていながら、ズブズブと沈み込むように感じられます。弄ぶかのように飛び回りながら私たちを翻弄するサイケデリックな音。深く深く沈んでいく中で、先程とは打って変わって、押し潰されそうなほどに重厚でダークな色彩が見えます。内側と外側の両方から攻め立てるようなエネルギー。恐れずに身を委ねましょう。

湧き上がるエネルギーの勢いは、次曲Little girl Shrine maiden's Dream battle;少女綺想曲~Dream Battle(2:43~でも留まることを知りません。オーバーヒートしそうな身体と脳に、冷たく、また無機質にも感じられる音が突き刺さります。しかしそれでも私たちの熱は冷めることはありません。その温度のギャップとサンプリングボイスに掻き立てられ、更にボルテージは上がっていきます。音の世界は、金属質な色彩と共に回転します。

Marijuana's Ash;月まで届け、不死の煙(3:30~
はすっかりマグマのように煮えたぎった私たちの熱にぴったりな曲でしょう。アップテンポの中で再び現れた有機的な音が私たちを踊らせ続けます。生物的なうねりと唸りの躍動が、内から吹き出すエネルギーと渾然一体となって世界を廻り続けます。燃え上がる火。その身が燃え尽きてしまおうと構わない。また灰の中から生まれ出て踊れば良い。ただ踊り狂いましょう。

今や踊り続ける塵となった私たちを再構成するかの如くDivine Magic Missing Moon Teatime;シンデレラゲージ~Kagome-Kagome(4:07~)は現れます。エネルギーはそのままに、私たちを多幸感ごと塗り込めていきます。煌びやかな光の連続がもたらす優しい快感がじんわりと浸透していく……。カゴメカゴメのメロディは私たちを囲って回りながら、足を付けるべき場所を教えてくれます。しかしまだ終わりではありません。旅は最後の最後まで楽しんでこそ。うっとりと夢心地のまま着地した私たちを、産まれ直したかのような感覚が包みます……


フライトはお楽しみいただけましたか?
貴方はこの旅をどう感じましたか?

「ちょっと気になるな」と思われた方、是非TGTF4を買って聴きましょう

「何言ってんだコイツ」と思われた方も是非TGTF4を買って聴きましょう


サイケデリック・トランスの知識や、東方Projectシリーズ及び幻想郷への理解があれば、おそらく違った聴き方が出来るでしょう。これは私に見えたものであって、あくまでこの作品の一側面でしかありません。貴方に見える世界はきっと違ったものになるはずです。
シンプルに音楽そのものを楽しむも良し。アレンジ元となる楽曲との違いや、また互いに重なるイメージを楽しむも良し。他のサイケデリック・トランスのトラックと聴き比べをするも良し。幻想郷的なストーリーを想像するも良し。

一人に一つの幻想郷という言葉と同じに

楽しみ方は一人ひとりに用意されています。

私の場合、『時間旅行。また時間を超越した内面と宇宙の旅。その中で行われる肉体と意識の破壊と再構成』というストーリーがまず初めに見えました。しかしながら、そのままを書くには余りにも突拍子が無く主観的で尖りすぎていたので、ある程度分かりやすく再編してこのレビューとしました。こんな見方だってアリですよね?きっとアリです。

是非ともこの作品に触れ、貴方だけの世界を、その旅を楽しんでいただきたいと思います。

HOW TO GET IT

PsyHedgehog氏は他にも素晴らしい作品をリリースされていらっしゃいます。そのどれもがストーリーテリングで魅力的です。
是非とも下記のショップ、或いは即売会イベントでお手元にお迎えいただければと思います。

東方紅楼夢(第16回)

2020/10/11 (sun)
10:30-15:00
インテックス大阪
HALL6C/D
せ07

お品書きはこちら↓


第七回博麗神社秋季例大祭

2020/10/18 (sun)
11:30-15:30
東京ビッグサイト
西ホール
お10ab

お品書きはこちら↓


M3-2020秋〈第46回即売会〉

2020/10/25 (sun)
10:30-15:30
東京流通センター(TRC)
第一展示場、第二展示場
シ-38

お品書きはこちら↓


一般参加の方は、昨今の情勢もありますので、イベントホームページの諸注意をよくお読みいただいた上でご参加されますよう、お願い申し上げます。

イベントではPsyHedgehog氏とお話もできます。気さくで面白い方ですよ。(サイヘジさんは早苗さん推しです)


最後に

PsyHedgehog氏は東方アレンジの他にも多数の楽曲を制作されています。Vtuberさんの配信BGMもいくつか手掛けられておいでです。他にも歌ってみた動画のMIXや、音声作品の編集もなさっています。ご依頼も受け付けていらっしゃいますので、気になった方は是非Twitterをチェックしてくださいませ。

一ファンの拙いレビューではありましたが、PsyHedgehog氏の作品と活動の一助となれることを願って、この記事を終わりとさせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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