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03サラブレッドとスキャット

『03 サラブレッドとスキャット』
0823文字で
おやすみなさいに繋がることを書こう。

有馬記念という一年を締めくくる競馬のレースがあった。
強い中でも、より強い馬を決める。
競争を通して、誰かが勝ち、
たくさんの誰かは負ける。
皆さんの中にもほくほくした方はおられますかね?
負けた方には‥賭ける言葉が有馬せん。

馬、特にサラブレッドが走る姿は美しい。
その美しさは、
血統や遺伝を様々考慮した結果なのかも。
だから優れた血筋や才能ある人は
「サラブレッド」と表現される。

さて、社会に影響もなく、疲れた声で
「娑婆駄馬」と闇にスキャット放つ僕だが、
自分のことをサラブレッド?と感じたのは
業界に入って数年経った時だ。

幼少期から歴史、
地理や異文化に心をときめかした。
教員の家に育ちピアノが傍にあり、
伴奏くらいならできた。
飲食業を経て、調理、盛り付け、
衛生の知識を少しもつ。
親族は戦前からカナダ移民だからか
マイノリティへの関心が強い。
祖父がアルツハイマー型・脳血管型ハイブリッドの認知症となる。
母がよくわからないながらに介護をする様子。
人の視線や荒ぶる語気に敏感で
感受性が高すぎて涙を流さない日が少ない
子供時代。
相手に合わせて会話や言葉を変えることを知り、
顔色と目線で心を読む時間を過ごした。

すべて大したことではない。
ガラクタの様な経験、知識、思い出に過ぎない。
でも、そんな寄せ集めを活用し、
感覚を集中、
素材と状況を写し取り、
今、何が必要か。
次に何が起こり得るかを類推して対処。
バックステップ踏んで次に備え、
失敗は甘んじて受け入れ、次に繋げる。
そしてより良いゴールを見つけて次の周回へ。

介護という全く興味のない世界に
迷い込んだだけなのに
何の苦もなく楽しくやれてしまったから
あー。そうか。
サラブレッドなんやなと思ったのだ。

様々な先輩方が生意気な若造に人生の面白さを
ベットしてくれたから、
このレースは今も続いている。
次のコースをイメージしながら目を瞑ろう。
今夜も、おやすみなさい。


(以上0823文字)

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