たどたどしいオペレーターの声は、吉本新喜劇の花紀京によく似ていました。
新聞の歌壇コーナーに電話越しに聞いた方言の短歌が載っていました。
〈どこだろう?間違い電話のあたたかな方言が耳に残る冬の日〉友常甘酢
電話口の方言、いいものですよね。そう言えば私にも思い出がありました。あれは何年前だったでしょう、確か春も終わりの頃でした。
あるメンバーズカードの問い合わせで電話をしたときのこと。
「この電話は今後のサービス向上に役立てるため録音されます」
というアナウンスの後に電話口に出たのは、あくまでその声からの想像ですが、少し年配の男性でした。
オペレーター経験がまだ浅いのか、たどたどしく、マニュアルか何かを必死に確認しているようで、丁寧にお応えくださっていました。私も丁寧に丁寧に話していたのですが、思った以上に問い合わせ内容の事態はこみ入っており、オペレーターは徐々にパニクってきて、私も彼の話の理解ができず徐々にパニクってきて、
そしてどうなったかというと、
二人とも方言丸出しになってしまったのです。
もはや完全に関西イントネーションになったオペレーターの声は、そうして聞いてみると吉本新喜劇の花紀京によく似ていました。
もし、この関西弁と東北弁の切迫したやり取りが、事後研修とかで私たちの会話が再生されたりしていたら……
みんな笑っただろうと思います(笑)。