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「ボーイフレンド演じます」の感想

小説「ボーイフレンド演じます」の率直なネタバレ感想です。

ロックスターを両親に持つルークは自堕落な生活でパパラッチの格好の餌食に。そのゴシップ記事のせいで勤務先の慈善団体の寄附者の不興を買い、仕事を失いそうになってしまう。名誉挽回のために誰もが尊敬できるボーイフレンドを作ることを思い立ち、友人の友人である堅物法廷弁護士オリヴァーにそれを頼むのだが・・・。

フェイクのボーイフレンドからだんだん本物になっていく・・・めちゃくちゃ王道ですね!何がいいって、ルークもオリヴァーもめちゃくちゃ可愛くて愛おしいんだよ!!もう応援せずにはいられないキャラ立ち!オリヴァーだけルークをルシアンって呼ぶところもいいんだよね。(以下ルシアン)

最初ルシアンは皮肉っぽいんだけど、それは今までさんざん傷つけられてきた自分の心を守るためだけで、お母さん思いなこと、間違った行動したらすぐ謝ること、自分を捨てた憎いお父さんでも癌になったらなんとか向き合うとすることから本当はすごく良い奴なんだなってことがわかってくる。さらにルシアンは自己肯定感がめちゃくちゃ低いけどオリヴァーがめげることなく何度も助けて受け入れてくれること、つまり大切にされることで自分ってそんなに悪くないってことに気づいてどんどん行動が変わっていくところが良かった!!

オリヴァーは正に”スパダリ”。堅苦しい性格ではあるものの、Vカット腹筋持ちのイケメンだし、真面目で社会問題についても真剣、もちろん仕事に誇りを持っていて美味しいフレンチトーストも作れる、それでいて連絡もマメという完璧さ。でも実は家族との問題を抱えていて、保守的な親の期待に答えたい気持ちが強く、親に反抗すらできない”いい子症候群”なところがあることがわかってくる。そんな二人の会話が面白くってどんどん読み進めていく小説なんだけど、逆に二人が出会う80Pまでがなかなか面白くならなくて、早くも挫折しそうになって1年以上おいてしまったww

二人はあまりにも正反対の性格で、こんな二人が上手くいくのかなと思わせる場面もあるのだけど、ルシアンが持つ根の素直さとオリヴァーの生真面目な思いやりでなんとか乗り越えて良いカップルになっていくんだよね。
そして後半、オリヴァーが抱えているものが明らかになってくるとオリヴァーも実は自己肯定感が低くて、傷つくのが怖くて好きなのに自ら関係を終わらせてしまうっていうルシアンとまったく同じ行動をするんだよね。そして改心して相手の玄関で謝って和解するところまで同じ。まさにお互い鏡の法則。二人は違うようですごく似ているってところがこの物語の妙だったのか。それが最後にわかる作者の上手さよ!
ダラムに引っ越そうとしているオリヴァーをダラムまで追いかけてロマンチックにくっつくのが王道だろうけど、ダラムに行っても実はオリヴァーはいないっていう肩透かしの展開はこのためだったわけだ。
ダラムの帰りに前回同様ルシアンがオリヴァーの玄関の前で必死に自分の気持ちを話してオリヴァーを説得して、おぉここでくっつくか!?と思わせといて・・・
オリヴァー「すまない、ルシアン。ぼくはきみと同じ気持ちではない」
え!?まだくっつかないの!?
ルシアンこんなに頑張ったのに!?
ページ数も残り少ないんですけど・・・って思ったよ。
ハラハラさせられましたわ。(私ならここで心折れるね。)
そしてその後、オリヴァーがルシアンの玄関に来るっていう作者が意図したラストになっていくわけです。
ダラムじゃだめなんですよ!!オリヴァーの玄関でもだめなんです!!ルシアンの家の玄関でくっつかないとだめなんです!!
でも本当にルシアン成長したよね。
ルシアンの成長がなければこのラストは無理だった。でもそういうルシアンになれたのはオリヴァーのおかげなんです。だから今度はルシアンの番だったんだね~滝涙。

生真面目なオリヴァーはなんでルシアンを好きになったのかなと思ったけど、「君は美しい」って言ってるからルシアンの顔がめちゃくちゃ好みだったんだと希望を込めて断言したい。そしたら真面目さとのギャップがあってめちゃよくない?
特に好きなのは、ルシアンとオリヴァーが結ばれるときオリヴァーが「きみは美しい。美しすぎて、とうとう触れていることが信じられないくらいだ」っていうセリフ!めちゃくちゃときめいて盛大にニヤニヤしてしまったよ。
その美しさとはどんなもんだという想像の手助けをするために、ルシアンに似ているとオリヴァーが話したロバート・メイプルソープの若い頃の写真をググったらめちゃくちゃ美しかった・・・!!ルシアンは自分のことオリヴァーに比べて”不運な日にピカソが制作したみたいなもの”なんていうから美しいと思って読んでなかったけど自己評価が低いだけでめちゃくちゃ魅力あふれる美しさだったわけだ。
あとオリヴァーが「君はありえないほど自由に見えた」ってルシアンを褒めてるから、他人の期待に答え続けて完璧だけど窮屈で苦しかったオリヴァーにとってルシアンの自分の心に素直で自由なところが眩しく見えて好きになったんだろうなと思う。


約800ページで割りと長めだけど、ルシアンとお父さんの話にどっぷり横道にそれるということもなく二人のロマンスを中心に最後まで話しが進んだのはすごくよかったと思う。でも最後が割りとあっさりしててもっと二人のラブラブなところが見たいし余韻に浸りたいのに!って正直思ったりもした。
そしたらなんと2022年8月2日に続編のHusband Materialが発売するとのこと!!やったー!!
翻訳はきっと1年後? 待てません!
ペーパーバックで配送は9月? 待てません!
Kindle電子書籍で発売日に買うしかない!
英語の勉強になんとか翻訳されるまでに読んでみる!!
引用も多いしまどろっこしい二重否定な会話とか理解できるか不安だけどとりあえずトライしてみようと思います。

本当に読み応えのある素敵なロマンス小説でした~~。
出会えて幸せ~~~

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