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小説”Husband Material”の感想

「ボーイフレンド演じます」の続編である”Husband Material”のネタバレ感想です。この物語はネタバレを見ないほうが良いと思うので、読んでない方やネタバレを嫌う方は絶対に読まないほうが良いと思います。

自分の心の整理のために感想を書きます。

前作のようなニセのボーイフレンドになってそれがだんだん本当の愛になってすったもんだした後くっつくという大筋の柱となるようなストーリーは何もなかった。序盤で元彼のマイルズが出てきてそれが物語を動かす大きなトラブルになるかと思ってワクワクしたら、結婚するから結婚式に来てという展開で拍子抜け。自己認識と過去との決別のためにルシアンは行くけど行く必要ないよな普通!
それはおいといても、それからもずっといろんな人の結婚式とかで様々なエピソードを重ねて中核のプロットもなく物語が進んでいく。それでもルシアンとオリバーが大好きだから面白いんだよね。
特にルシアンのプロポーズのシーンは最高!日常の中でオリバーがいてくれることの安心感と幸福感に気づいてふいにオリバーにプロポーズするんだよ!ハッピーすぎてニタニタ笑顔で部屋の中を駆け回ったよ。
オリバーのお父さんが突然亡くなって、ルシアンが蚊帳の外になってしまったときは二人の関係をものすごく心配した。でもルシアンとの関係で成長したオリバーがお父さんとの関係を見つめ直したところとか胸を打たれた。二人でお葬式を乗り越えたことで二人の関係がより強固に深まったのが感じられた。ページ割いてただけあってすごくよいエピソードだった。
結婚式の準備で生まれがちな喧嘩も乗り越えるし、ゲイとしてのアイデンティティ問題も大方解決、ルシアンの浮気疑惑もオリバーの嫉妬の可愛さが描かれててニヤニヤできたし、二人がファーストデートで行ったレストランでのデートと会話が最高に楽しかった。

なのに!!
チャプター40からのあの展開!!
逆張りしたかっただけじゃないの!?
クィアな人たちが頑張って勝ち取った結婚という権利を「結婚はストレートの人のものとしか思えない」って理由は納得がいかない。まだ不足している部分もあるのかもしれないけど、やっと勝ち取った権利じゃないか。これまでオリバーがそういうふうに考えてるとは読み取れなかったけど??
それより、先回りして心配してネガティブな決断をする破滅的な性格のせいで結婚への迷いが生じたならわかるし。でもそれはレストランデートのとき解決されたよね。ルシアンだってIt's worth rolling the dice.に共感してたのに・・・。
今までずっと1巻から二人の成長を描いていたわけじゃん。
ろくでなしのパリピだったルシアンがオリバーに出会って自己肯定感を高めて成長して、実際2巻ではオリバーを支えたりさ・・・。完璧なオリバーも実は複雑で問題を抱えて頑固なところがあっったけど、ルシアンと出会って自分を認めて開放できるようになった。そんなMATUREな二人が周りに祝福される結婚という絆を結ぶ展開になって欲しかったよ。結婚というものがまだヘテロというマジョリティの価値観に即したものだという批判。結婚しない選択肢が当たり前にあるヘテロと同等のことができるというマイノリティには無い価値観をあえて与えてるのかも知れない。古い型に二人をはめたくない。そういう思いでこの展開なのかもしれない。結婚してハッピーエンドなんて古いのかもしれない。でもやっぱり二人には成長した証としてチャプター40以降の行動をしてほしくなかった。
二人が愛し合っているのは最初から描かれていた。それなのに最後もそれではステップがない。ヘテロに当たり前にあるステップが無いことの苦悩がクィアな人たちにはかつてあったと思うんだ。イギリスは2014年に合法化したらしいからまだ10年も経ってない。まだ二人が結婚して幸せだというストーリーでもいいじゃないか。

しょうがない・・・受け入れるしか無い。二人が結局ハッピーだからよいじゃないか。そこは疑いなく描かれている。そう言い聞かせて過ごすしか無い。(つらい・・・涙)
次巻”Father Material"の発売が2024年との爆弾ニュースを作者のツイッターで読んだ。HUSBANDでもない二人がどういう流れでそうなるのか・・・犬を飼うだけなのか・・・もう予想ができない。

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