29冊の仕事から見えたもの②仕事は次の仕事へのオーディションだ!
自分が携わった29冊の書籍を過去にさかのぼって、最初の1冊にたどりついたとき、
「駆け出しのライターに1冊の本を任せてくれたのは、かなりのリスクだったんだな」
とあらためて感じた。
そのことは、以下のnoteに書いたとおりだ。
幸いなことに、その1冊めから、途切れずに仕事の依頼をいただいている。
自分で言うのは自慢みたいだけど、それは「1冊めの仕事で力を試されて、合格点をもらった」ということじゃないかと思う。
そうじゃなければ、僕に仕事を頼まない。ほかにライターは、いくらでもいるんだから。
1冊めが2冊めにつながり、2冊めが3冊めに……。そして、今がある。
言いかえると、その仕事は次の仕事へのオーディションなんだと思う。
編集者さん、著者さんの期待を下回る仕事をしたら、オーディションに落ちる。
一度落ちたら、次のチャンスはないかもしれない。
目の前の仕事に全力を尽くし、期待を105%でいいから上回る。
そうすれば、次の仕事の依頼がある。
つまり、ブックライターにとっては、目の前の仕事で期待値を上回るのが一番の営業方法なのだ。
ライターは常に試されている
編集者は、「はじめまして」のライターに、まず短い原稿を頼んで試してみる。
それが合格点なら、長めの原稿で試す。
それが合格点なら、短編を。
短編が合格点なら、長編を……。
ライターは、そうやって試されるたびにスキルアップして、キャリアアップしていく。
(といっても、長編のほうが短い原稿より簡単だということじゃない。
むしろ、短い原稿のほうが難しいと、僕は思う)
「試されている」というのは、新入社員が会社で働き始めるときと同じかもしれない。
たとえば僕も経験がある営業の仕事であれば、まず得意先への書類を届けるような雑用を頼まれ、御用聞きを頼まれ、営業補佐を頼まれ、その得意先を任される。
頼まれたことができるのは、当たり前。
期待値を上回って初めて、「アイツに任せよう」となるんだと思う。
期待を上回るために気をつけたこと
僕の場合、特に以下のことに気をつけた。
すべて当たり前のことだ。だけど、その当たり前ができない人が多いようで……。
・締め切りを守る
ライターが仕事を失う一番の要因は、締め切りを守らないこと
・締め切りに間に合わないかもしれない場合は、期日の1週間くらい前に相談する
期日に余裕がある場合もあるし、「できているところから先に送ってくれ」と言ってもらえる場合もある。
・取材のたびに、内容を報告する
「今回は、こんな話が聞けました。次回は、こんな話を聞きたいと考えています」って感じで。
・取材の待ち合わせは、時間厳守
僕は取材場所の近くに1時間前、最低でも30分前に到着する。
時間に遅れると、著者のかたの信頼を失う。貴重な時間を奪ってしまう。
さらに、「やっちゃった……」という心理で取材がうまくいかないなど、いいことは何もない。
・執筆で迷ったときは、書いてしまう前に相談する
この手間を省くと、編集者とライターの間で内容のズレが生じてしまう。
事前に相談すれば「思っていた原稿と違う」という悲劇はさけられる。
今、30冊めの仕事がスタートしたところだ。
オーディションは続く。これからもずっと続くと思う。
目の前の仕事に全力を尽くす。
読者に「買ってよかった」「読んで役に立った」と言ってもらえる本にする。
編集者さんや著者さんの期待を105%、上回る。もちろん、読者の期待も。
これを続けていくことが大事だと、今、あらためて感じている。