気功をはじめる前に知っておいて欲しいこと
こんにちは。気功師の佐伯です。
気功では気を使用して、心身の不調を改善したり、不調の改善が済んだ心身をさらに強化するといったことができます。
両者ともアプローチは気を使うことで統一され、「気の操作」の範疇から出ることはありません。
不調の改善を「ヒーリング」と呼び、心身の強化を「鍛錬」や「トレーニング」と、何に対処するかで呼び名が異なるというだけです。
こういった記事に辿り着く方は、気功に興味を持っている人でしょう。
そしてゆくゆくは書物などを頼りに、セルフヒーリングにトライされるかと思います。
この記事の内容がそんな方々の一助となれば幸いです。
可逆と不可逆を覚える
では本題に入りましょう。
まず、「可逆性」という言葉を覚えてください。
可逆性とは、逆に戻りうる性質、もとの状態に戻りうる性質を意味するとあります。
この反対の意味として、「不可逆性」という言葉があります。
こちらは、再び元の状態に戻れないことを意味します。
元に戻らないという感覚でポピュラーな概念は「時間」です。
誰も時間を止められませんし、12:00の世界から11:59の世界に戻すこともできません。
もっと身近な例を挙げると、業務上の書類にも当てはまります。
業務の流れ、責任の所在を明らかにする風土の会社ならば、業務上で作成した書類の操作履歴が残ります。
履歴に基づいてデータファイルを復元することはできますが、「操作した履歴」までは消せないようになっているでしょう。
「誰がいつ何をしたのか」という操作の内容については不可逆にしてあるということです。
いったん進んでしまったら、二度とは元に戻らないこの感覚を不可逆と呼び、気功では頻繁に使うことになるのでよく覚えておいてください。
空想の世界を「不可逆」と捉えることへの覚悟
気功はイメージ力、想像力の類も用いますし、記憶にしまってある五感情報も用います。
「脳にできることはすべてやる」つもりでいてください。
その中で、「自分がこれから考えること」「自分の想像や思考」の取り扱いには覚悟がいることも知ってもらいましょう。
「考えたこと、思考したこと、想像したことはなんでも実現します」と、このように言われたらどう思いますか?
「そーんなバカなことがあるわけないだろう(笑)」と一笑に付すかもしれませんね。
そう思っておいた方が心身の安全は確保できるでしょう。
ちょっと怖い話をすれば、ついうっかり他人の死を想像してしまい、本当にそんな現実が連続して起こってしまったとき…
果たして人は自我を保っていられるのでしょうか。
正常な精神に戻ることはできるのでしょうか。
もし、怖くない、へっちゃらと強がるのであれば、僕は何度でもあなたの目を見てこう問いかけることにしましょう。
「ほんとに?」
確かにただのたとえ話にすぎませんが、想像力を働かせれば上記の話を少しくらいは「怖い」と感じられるはずです。
想像上の話にも怖さを感じられるのは、マインドにブロック機能が存在するからです。
僕らの脳は、物理的に起きたことだけじゃなく、想像上、思考上の「まだ起きていないこと」にも感情的反応を示すことができるのです。
このようなブロック機能がないと、興奮して暴走したときに何をしでかすのかわかったもんじゃありません。
これは、「決して他人を呪うな」というメッセージでもあります。
「死への恐怖」が自分にも他者にも働くから、危害を加えるようなことがないのだと知っておいてください。
この事実を知ったうえで「気功を自分のゴール達成に使う」と決断をするのであれば、必要不可欠な覚悟を持ちつつあるということです。
不可逆な操作として気を扱う
ちょっと脇道に逸れましたが、ふわふわした感覚を一蹴できたと思います。
気で自分のマインド、思考、心を変えるといった操作に興味を持っているのはわかっています。
しかし、本当にそれを行うにあたっては「不可逆」な操作として気を使う必要がでてきます。
コーヒーに注いだミルクが、あとはただコーヒーに混ざっていくだけ。
こんな感覚で気を扱って欲しいのです。
おそらく気功を取り入れていく段階で、「安易に変わって良いのだろうか」「取り返しがつかなくなるんじゃないだろうか」と無意識に不安が言葉になることもあるでしょう。
そう思うことがあるから、本当に欲しいゴールにのみ使える技なのです。
want toと表現すると「やりたい」という言葉に変換されるので、腹をくくるとか覚悟をするといった感覚が縁遠いものになってしまいます。
しかし本当は常にwant toの側にないといけない感覚なのです。
何だか息苦しくなってきましたね(笑)
ただ、「気功で自分を変える」とか「気功で自分を成長させる」と考えているのであれば、当然のように受け入れて欲しい負荷です。
とはいえ、不可逆の感覚を用いて気を入れるメリット、つまりゴール達成に役立つことがわかると、許容可能な負荷に変わるので安心してください。
ラッキーへの対応にも学ぶことがある
さて、気功の世界観が伝わったでしょうか。
「気で自分の存在を書き換える」という言葉の裏側にあるものが伝わったでしょうか。
僕自身は「今の自分の考え方」を脱ぎ捨てるためのテクニックが気功にはあると考えています。
生き方を変えるためのヒントが詰まっていると言っても良いですね。
ここで注意して欲しいのは「変わる」ことはほぼ約束されていますが、「都合よく変われる」は確約されていません。
ラッキーが起きたり、舞い込むこともないわけじゃありませんが、ほとんどは自分の「物事の考え方」「行動や取り組み方」といった生き方の変更があって実現されるものなのです。
そして、実はラッキーが起きたときにも考え方を変える必要があります。
それがなぜだかわかりますか? 想像してみましょう。
ある日突然、身に余るほどのラッキーが起きたとしましょう。
もしそのラッキーを掴むことができたら、「身に余る」という考え方は即刻捨てなければなりません。
プラス1万のラッキーが「身に余る」と感じ続けていると、遅かれ早かれマイナス1万のトラブルに突っ込んでいきます。
これは、ホメオスタシスの働きによってほとんどの人が陥るものです。
唐突にラッキーが発生したら、「どれくらいのラッキーなら自分は受け止められるのか」を真剣に考えなければいけません。
受け止められるラッキーの上方修正をしなければ、プラス1万に相当するマイナスを回避できないのです。
「良いことを受け止める許容量を上げる」と、文字にすると甘美な響きだと錯覚しますが、その実「生き方の変化」を求められています。
良い結果に向かうとき、人は気が大きくなって雑に考えたり行動することがありますが、結局それも「自分の生き方が変化することを許容できていない」の一言に尽きるわけです。
雑にやれば、すぐにしくじって元の生活の自分に戻ることができます。
これが心理にも働くホメオスタシスの成せる技です。
気を使って現実に変化を起こしたいのですから、「不可逆」の感覚で気を扱う必要があるということです。
さて、今後の記事でも明かしていきますが、気功は「物理的な移動をせずに、精神的な環境のレベルを上げる」ことが可能です。
気功の技法を用いることで、自分を高める場を構築できるところに僕は魅了されています。
そもそも偶然ラッキーが発生しても、そのラッキーが許容できなければ自分から破滅の道を無意識に選択してしまうのです。(ホメオスタシスについてはまた別の機会に解説します)
生き方を変える術を気功から抽出して体得しておくことは、突発的なできごとへの対処能力を上げることにもつながりますからその意味でも学びがいがあります。
ぜひとも自分の人生に気功を役立てていってください。
それではまた次の記事にて。