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テレワーク ガイドライン 改定(厚生労働省・テレワーク働き方検討会)

これからのテレワークでの働き方に関する検討会・報告書(案)

厚生労働省の有識者会議「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」(第5回)が2020年12月23日、厚生労働省省議室で開催された。

この日の検討会では(これからのテレワークでの働き方に関する検討会)報告書(案)について議論されたが、これを受けて厚生労働省はテレワーク企業向けガイドライン(指針)見直し・改定(改訂)に動く。テレワークのガイドライン(指針)は2021年3月までに改訂される予定。

なお、テレワークハラスメント(テレハラ)については「テレワーク実施中にも、パワーハラスメントや セクシュアルハラスメント等が起きることがあり、そのことが共通認識としてまだ十分に浸透しているとはいえないので、テレワークガイドライン等においても示していく必要がある」との記載だけ報告書案にはあった。残念ながら「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」ではテレハラについて十分な議論は行われなかった。

これからのテレワークでの働き方に関する検討会・報告書案(PDF)

テレワーク「非正規だから対象外」はNG 指針改定へ

朝日新聞は「新型(略)下で広がったテレワークの課題を議論してきた厚生労働省の検討会が(2020年12月)23日、そんな報告書案をまとめた。勤務の『中抜け』を事実上認めるなど、働き手がテレワークをしやすくする方向性を打ち出す一方で、長時間労働を防ぐための労働時間管理は、引き続きしっかり行うように求めている」と報じた。

労働法が専門の大学教授ら8人が、働き手や企業への調査結果も踏まえて8月から議論した。厚労省は報告書をもとに、年度内にテレワークの指針(ガイドライン)を大幅に改定する。
緊急事態宣言も出た春以降、正社員はテレワークを認められる一方で、派遣社員ら非正規の働き手は出社せざるを得ない実態が広がった。そこで報告書は企業に対し、正規・非正規といった雇用形態だけを理由にテレワークの対象者を分けないよう、留意を求めた。
また、テレワークは長時間労働になりやすい懸念があるとして、企業が働き手の労働時間の把握義務をきちんと果たすことの重要性を、改めて指摘した。
一方で、働き手の仕事の状況を常時把握するような方法は「現実的ではない」として、働き手が自己申告した労働時間が実際と多少異なっていても、原則として企業は責任を問われないことをガイドラインに書き込む方向性を示した。働き手が宅配便の受け取りなどで仕事を「中抜け」した場合も、始業と終業の時間をきちんと管理すれば問題ないとした。
長時間労働を防ぐため、フランスの「つながらない権利」を参考に、時間外や深夜・休日の電話やメールなどについて、一定のルールを作ることも有効との考え方も示した。このほか、テレワークをせずに出社していることだけを理由に働き手を高く評価することは適切ではない▽通信代・機器代などテレワークで生じる費用の負担について、労使であらかじめルールを作ることが望ましい――といった考え方も示した。
ただ、柔軟なテレワークを認める観点からだとしても、企業の労働時間の把握義務を緩めることには働き手の立場から懸念も出ている。日本労働弁護団の水野英樹弁護士は「『自己申告頼み』は、あいまいでずさんな時間管理の温床となりかねない。始業と終業は、客観的な時刻が記録される方法でしっかり管理すべきだ」と指摘する。(朝日新聞デジタル、2020年12月23日配信)

在宅勤務の時間管理、自己申告で可能 指針で明確に

日本経済新聞は「厚生労働省は23日、テレワークに関する企業向けガイドライン(指針)の見直しに向けた報告書案を示した。労働者の自己申告だけで労働時間を管理しても原則として問題ないとの旨を指針で明確にする。労使双方の負担を軽減するためで、家事などで中抜け時間が生じても始業と終業の時間を管理していれば良いことも確認する」と報じた。

テレワークのガイドラインは2021年3月までに改定する。大企業の多くがテレワークを導入している一方、中小企業では普及が進んでいない。テレワークは労働基準法との関係で「煩雑な労務管理が必要になる」との誤解が広がっている面があり、簡便にできる手法を厚労省が明示する。
労働時間はパソコンのログなどで企業が客観的な形で把握できる場合を除き、自己申告された時間の正確性について企業の責任は問われない。出勤する場合と同様に休日や深夜労働もできるものの、現在のガイドラインでは禁止との誤解を与えかねない書きぶりになっているため、明確に可能であると示す。
厚労省の調査では7月時点でテレワークを実施していた企業は従業員1000人以上では74.7%に達した一方、99人以下では17.6%にとどまった。同様に、正規社員と非正規社員の実施率でも大きな差が生まれている。ガイドラインでは雇用形態の違いだけを理由にテレワークの対象者を分けることはできない旨も示す見通しだ。
テレワークで人事評価が難しくなるとの指摘がある。厚労省はあらかじめ評価の対象となる具体的な行動や評価の方法を明確にするよう企業に促す。23日の報告書案では、テレワークで働く労働者が時間外や休日、深夜にメールなどの対応をしないという理由のみで、企業が不利益な人事評価をするのは不適切だとした。(日本経済新聞、2020年12月23日配信)

テレワークのガイドライン見直しへ 休日深夜の連絡にルールを
NHK NEWS WEBは、「在宅勤務などのテレワークは長時間労働につながる懸念があるとして、厚生労働省の検討会はいわゆる「つながらない権利」を参考に休日や深夜の業務連絡の在り方について一定のルールを設けるべきだとする報告書をまとめました」と報じた。

新型(略)の感染拡大でテレワークが広がった一方で、仕事と生活の時間を区別することが難しく、長時間労働につながる懸念があるという声が出ています。
厚生労働省が設置した専門家で作る検討会は、ことし8月からテレワークの在り方について話し合いを進め、23日国のガイドラインの見直しを求める報告書をまとめました。
この中では長時間労働や勤務時間を実際より少なく申告するケースをなくすために企業はテレワークを行う従業員の勤務時間を適切に把握することが重要だとしています。
そのうえで、フランスで定められている働く人が勤務時間外の業務連絡を拒否することができるいわゆる「つながらない権利」を参考に、休日や深夜の連絡の在り方について企業と従業員で話し合い一定のルールを設けることも有効だとしています。
また、従業員がオンライン上でも上司や同僚、産業医などに相談しやすい環境を作ることや、パソコンの配置や照明などの作業環境が適切かどうか確認・改善を進めることが重要だとしています。
さらに正社員と比べて非正規雇用で働く人のテレワークの実施率が低いことから、雇用形態の違いだけを理由としてテレワークの対象者を分けないよう留意する必要があると指摘しています。
厚生労働省はこの報告書を踏まえ、今年度中にテレワークのガイドラインを見直して企業に周知したいとしています。(NHK NEWS WEB、2020年12月23日)

追記:厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」

公表2020年12月25日、厚生労働省は「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」を公表。

報告書では、これからのテレワークでの働き方について
・テレワークの対象者を選定する際の課題
・テレワークの実施に際しての労務管理上の課題(人事評価、費用負担、人材育成)
・テレワークの場合における労働時間管理の在り方
・テレワークの際の作業環境や健康状況の管理・把握、メンタルヘルス
の対応方針等についての有識者の意見をまとめたほか、テレワークを推進するにあたって必要な今後の対応についての有識者の提言が盛り込まれている。

また、厚生労働省では、この報告書を踏まえ、今後、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」の改定が行われる予定。

「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書(PDF)

「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」報告書概要(PDF)

情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン(厚生労働省)

追記:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」案

厚生労働省・労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)が2021年3月4日に開催されたが、議案(3)は情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの改定について(報告)。

また配布資料が公開されたが、テレワークガイドラインに関する資料は次のとおり。

資料3-1 テレワークガイドラインの改定等について
資料3-2 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)

上記の資料3-1「テレワークガイドラインの改定等について」によると、新たに改定されるガイドラインの名称は、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」となるとのこと(現行のテレワークガイドラインの名称は「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」)。

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)(PDF)

追記:テレワークガイドライン案が修正されることに

厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案) 」に対して2021年3月4日に開催された労働政策審議会の雇用環境・均等分科会で各委員から意見や質問があり、修正したテレワークガイドライン(案)が3月中旬に開催される労働政策審議会の労働条件分科会で報告されることに。

追記:修正されたテレワークガイドライン案が分科会で報告

2021年3月16日、労働政策審議会の労働条件分科会開催。また安全衛生分科会が持ち回りでこの開催。両分科会において「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」(3月4日に報告されたガイドライン一部修文)が報告され、了承された。

「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」<指針>は、今月内(2021年3月31日までに各都道府県労働局長あてに通達(通知)される予定。

なお、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)」<指針>の経過概要、目次、全文はブログ働き方改革関連法ノートに記事を投稿(2021年3月19日)。

厚生労働省テレワークガイドライン<指針>改定案(修正版)(働き方改革関連法ノート)

追記:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」公表

厚生労働省は、現行のテレワークガイドライン(指針)「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(指針)に改定し、本日(2021年3月25日)公表。

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省)