人事院テレワーク有識者会議「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」と裁量勤務制(裁量労働制)拡大
人事院はテレワーク等の柔軟な働き方に対応した一般職国家公務員の勤務時間制度等の在り方を検討するために新たな有識者会議(正式名称「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」)を立ち上げ、その第1回会議(研究会)が昨日(2022年1月31日)開催された。
その資料が公開されたが、その資料には検討事項に公務における裁量勤務制の適用見直し(第6回会議の議題予定には裁量勤務制拡大<正確には裁量勤務制適用または裁量勤務制対象拡大>と記載)が入っている。裁量勤務制とは労働基準法における裁量労働制の公務版にあたり、公務では裁量労働制ではなく裁量勤務制と呼ばれている。
人事院の新たなテレワーク有識者会議 委員名簿
人事院の新たなテレワーク有識者会議(テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会)委員は東京大学大学院の荒木尚志教授を座長とする次の8人の学識経験者で構成されている。
なお、人事院「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」座長の荒木尚志・東京大学大学院法学政治学研究科教授は、厚生労働省「これからの労働時間制度に関する検討会」(厚生労働省の裁量労働制など労働時間制度見直し検討会)の座長もされている。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 委員名簿(PDFファイル)
これからの労働時間制度に関する検討会 開催要綱(PDFファイル)
人事院の新たなテレワーク有識者会議 検討事項
人事院の新たなテレワーク有識者会議(テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会)の主な検討事項は人事院サイトによると次のとおり。
人事院の新たなテレワーク有識者会議 論点
人事院の新たなテレワーク有識者会議(テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会)での論点は、第1回会議(研究会)資料(4ページ~)によると、「テレワークという働き方」「国家公務員の柔軟な働き方」「国家公務員に勤務間インターバル制度を導入すること」の3点とされている。
この中で「裁量勤務制(招へい型任期付研究員(特に優れた研究業績を有する研究者を招へいして研究業務に従事させるもの)のみ認められている)について、適用範囲を広げることをどう考えるか」が、「国家公務員の柔軟な働き方」の具体的な論点例として記載されている。
「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」資料(PDF)
人事院の新たなテレワーク有識者会議 開催予定
また、人事院の新たなテレワーク有識者会議(テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会)開催予定は、第1回会議(研究会)資料によると、次のようになり、来年(2023年)6月に報告書がまとめられることになる。
なお、第6回会議(研究会)は今年(2022年)11月頃開催予定だそうだが、議題は「より柔軟な働き方(テレワーク中のみなし勤務の適用、裁量勤務制の拡大等)」。
追記:第1回 人事院有識者会議(研究会)議事録
「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第1回)議事録」が人事院サイトで公開。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第1回)議事録(PDFファイル)
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第1回)資料(PDFファイル)
追記:第2回 人事院有識者会議(研究会)議事録
「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第2回)議事録」が人事院サイトで公開。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第2回)議事録(PDFファイル)
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第2回)資料(PDFファイル)
追記:第3回 人事院有識者会議(研究会)資料
「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第3回)資料」が人事院サイトで公開。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第3回)資料(PDFファイル)
この第3回資料によると、第2回「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」(人事院有識者会議)で実施されたヒアリングで、裁量勤務制(裁量労働制)拡大に関して、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は「テレワークであっても、例えば、研究員に係る研究業務に類似するような業務が新たに発生することは想定できず、在庁勤務と相違する特殊な職務・業務に従事するものでもないため、そもそも裁量勤務制の適用を検討する余地はありません」と述べた。
この国公労連の意見に対して、風神佐知子委員(慶應大学商学部准教授)は「裁量労働制はオーストラリアとかニュージーランドでの研究結果を労働経済学では、よく拝見するのですが、その中の調査でもやはり、育児や介護など、ケアに責任のある労働者や仕事に対するエンゲージメントであったり、あとは勤務年数の長い人というのが、やはり自分の将来のキャリア投資として、労働時間が長くなっているというようなことも研究結果として出ているので、これをやはり健康面として見ると、労働時間が長くなることはもちろんネガティブなことですし、一方でその将来の自分のキャリアステップということを考えるとプラスになりますし、一つ考えることなのかなとも思います」と述べ、裁量労働制(裁量勤務制)拡大議論余地なしとした国公労連の意見に反論(人事院「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」第3回資料6頁)。
追記:第3回 人事院有識者会議(研究会)議事録
人事院「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の第3回議事録が公開されたが、国家公務員のテレワーク、フレックスタイム制、勤務間インターバルについて議論された。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第3回)議事録(PDFファイル)
追記:経済財政運営と改革の基本方針2022
「経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)が経済財政諮問会議での答申を経て、(2022年)6月7日)閣議決定された。
この「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)には「国家公務員について、既存業務の廃止・効率化、職場のデジタル環境整備、勤務形態の柔軟化などを通じた働き方改革を一層推進するとともに、採用試験の受験者拡大やデジタル人材を含めた中途採用の円滑化、リスキリングなど人材の確保・育成策に戦略的に取り組む」と記載されている。
追記:第5回 人事院有識者会議(研究会)資料
人事院「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の第5回資料が公開されたが、第6回は(2022年)6月21日に開催、議案は「中間報告骨子(案)について」。
なお、「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」中間報告 骨子(案)は後日掲載予定とのこと。(6月21日現在)
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(第5回)資料
追記:テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 最終報告
(1)最終報告(案)
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会(案)が、人事院のサイトで公開された。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 最終報告(案)(PDF)
(2)最終報告
2023年3月27日、人事院は「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 最終報告」を公表。
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 最終報告の概要(事務局作成)(PDF)
テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会 最終報告
(3)最終報告のポイント
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