「良い映画に出会った」と思う瞬間
なんだか胸がざわざわするニュースで、落ち着きませんね。
私はアニメに全くもって明るくないので何も特別なことは言えないのですが、場所がどこであれ、こうした恐ろしく酷い事件が起きるのは本当に悲しいことです。。とにかく、祈ります。
先日、「彼女がその名を知らない鳥たち」という映画を観ました。とても有名で賞レースも総なめにした作品なのは知っていたのですが、お恥ずかしながら観ておらず、Netflixでの配信が始まったのでこのタイミングとなりました。
時間を忘れて見入った映像作品は、正直本当に久しぶりでした。それくらい、のめり込んでしまう作品だった。今が何時で、自分がどこにいて、どのような環境で観ているのか。そんなことが全く気にならずにわからなくなってしまうくらい、吸い込まれていきました。ワンシーン目からめちゃくちゃ面白かったけれど、後半にかけての怒涛の展開には、なんというかうっとりして、深いため息をつきました。脚本、編集、演者さん、、、どれもが素晴らしかったです。
私は、良い映画を観終わった後の感覚が好きです。映画が終わった後、自分の感覚が研ぎ澄まされていることが、わかる感じがするのです。それは神経質になるとかそういう嫌な感触ではなくて、どこか、映画の中に自分が存在している感覚を覚えるのです。現実ではなくて、あの世界に自分が入り込んだような、浮遊感。
今回も、とても久しぶりにその感覚を味わいました。お風呂に入っている時、水を飲んでいる時、ぼーっとしながらスマホをいじっている時。色々な瞬間が、映像として脳内で再生されるんです。
お風呂のシーンでは、このあたりの位置から捉えた画角で、こんな感じの肌の質感を見せて、シャンプーのポンプの向きはきっと揃ってない。水を飲むときに映るのは汗ばんだ喉仏と、筋肉のない二の腕と、4年は着たであろうゆるゆるのTシャツ。
そんな映像が勝手に頭の中で作り上げられる。そして、あの映画がまだ続いているような感覚を覚えて、その浮遊感の中を、ゆらゆらと楽しむのです。その時間は、とても気持ちがいいです。その時間まで楽しめた時、私は「あぁ、良い映画に出会ったんだ」と感じます。
「彼女がその名を知らない鳥たち」は、決してハッピーな映画ではありません。そして、いけないこともたくさん起こります。爽やかな瞬間なんて、1秒もない。でも、リアルじゃないものが全てリアルに感じて、不愉快であるはずの人物に何故かあっけらかんとした魅力を感じました。コピー?宣伝文句?では「共感度0%、不快度100%」って書いてあるらしいですが、私は共感もしなかったし不快にも感じなかったです。ただただ、人間の面白さだけを感じ、のめり込みました。
ふわふわとした浮遊感を覚える映画、もっともっとたくさん出会いたいものですね。きっと私が観ていないだけで、たっくさんあるはず。掘り出します。楽しみ。
Sae
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