【和雅詩】雪の罪

暦は立春つばき祭りよ、過ぎては伊予路に春を呼ぶ
淡雪風花軈ては春、立てば咲く咲く梅、桜
宴に盛るは梅の花とな、見惚れて緑茶も冷めゆくか

睦月如月まふゆの侯よ、節分過ぎて雪や来る
豆をくれるは優しき鬼の子、おかしおかしと孤児が泣く
季節も狂えば人も狂うか、真の魔の目を咎め、雪

立春過ぎてや真の大寒、暦の妙に傾ぐ首
千の針刺す如くの風に、悴む指先白き息
松に雪笠地に雪の帯、幾重の衣を景に着す
衰の枯れ池満たすは雪よ、枯季に皮肉や水なきに
雪で酔わせて泡沫の夢、殺めか救いか華ぞ罪
屋根から落雪六花の御霊、陽に溶け幽けく逝く想念
月の陰にて黙して抱くは、諦観の念に幸の情
雪塊より滴る氷柱、いづれの涙も夢と逝く

松や石に雪笠残りて、起きて眩しき雪あかり
吹雪の舞いや千秋楽かと、去りゆく悲愴に妖し影
騙りて去る振り雪女の背よ、不敵に笑むは雪の紅

すり硝子窓射す陽光に、雪も帰郷か静寂に
刹那潤い雪の肌かな、枯れ池しみる夢の痕
花びら散り落つ寒椿みつ、此れが現と枯れ池よ
喪う惜しむは世の常なりと、枯れ池や衰に身を帰す
雪や刹那の贖罪みせるか、雅びに舞いては雪化粧

陽や煌々風花便り、千秋楽かや雪芝居
梅花に鶯鳴くも漸々、雪の日記を終う夜
氷雪に蝶翅の骸に、銀世界の残像滲む
泣く鬼の子と手を繋ぎては、笑顔で去りゆく雪女

されとても

雪女の未練の如く、啜り泣くよに虎落笛
龍の如くに蛇の如くに、荒れ狂う風や闇の夜に
雪女の身に絡むは白蛇か、紅の微笑に雪を告ぐ

揶揄うよに白みたび吹雪よ、十二単衣か雪の帯
最期の舞いよ千秋楽よと、幸を咲かせて雪芝居
民の嬉に苦に浮かべる涙、雪もみぞれに溶けて春
さらばさらばと笑む雪女、罪を背につみ去り逝くか

月や冴え冴え薄氷皓々、透けて明かすは密の罪
覆う大雪透かすは氷月、雪の罪をや如何とする

雪の罪をや如何とする

四季の罪や雪の罪より、はじまり巡るは運命かと
罪もろともに継ぐは幸よと、桜に届ける雪の文
黙して咲かせて狂喜乱舞よ、四季の罪に四季の幸

雪の罪をや如何とする
雪の罪をや如何とせん
















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