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ロールケミスト デザイナーズノート

ロールケミストは、45分ぐらいで、1~6人まで遊べる、ダイスにシールを張ってビルドするという一風変わったボードゲームです。
そんなロールケミストを僕がどんな気持ちで作ったのかを書き残しておきます。


コンセプトを考える

ダイスをカスタマイズできるシールがあります。

これは、自分が欲しくてちょうどいいのがないので作ったのですが、せっかく作ったのならこれを主軸に置いたゲームを考えたいと思いました。
なので、最初のコンセプトは、このシールを使うボードゲームです。

ゲームシステムを考える

書き込むということは、書き加えることができるということ。そこがこのゲームならではの要素になりそうだと思い、どうやって書き込んでいくことでダイスを育てられるだろうかということを考えていました。他には、みんなでダイスに書き込んでなにかしら大喜利的なものもいいかもしれないなどと思ったり、いろいろと考えを巡らせていましたが、なかなかうまいことまとまらず、月日が過ぎていきました。

ある日 Balatro が Steam で発売されて大ヒットしました。このゲームはポーカーをもとに、トランプをビルドしていくゲームなのですが、トランプ自体をビルドする要素もあるのですが、ジョーカーという特殊カードを組むことや、役をパワーアップさせることを主としていました。
トランプ自体をビルドしても、ビルドしたカードを引いてくる確率は低くあまり体験がよくなりませんが、その外側に成長要素を持たせることでその問題を解決しているのも良かったです。

※バラトロは、PS5やスイッチ、スマホでも遊べます。めっちゃおもろい。

ロールケミストも同様に、ダイスを少し変えたところで出なかったら体験として悪くなってしまいます。これをヒントに役を育てつつ、ダイスも育てるゲームにしたらいいのでは?と思いつきました。いったん書き加える要素については忘れることにしました。

そこからは、すぐにゲームの骨子ができました。様々な効果のあるカードをドラフトし、そのカードの効果によって役やダイスにシールを張ってビルドし、ダイスを振って得点をゲットするという形です。この基本的な構造はこのときから完成まで全く変わっていません。

コンポーネントとゲームシステムのせめぎあい

ゲームを調整していくにあたってどのようなコンポーネントで作るのか?どのようなシステムにすると面白いのかを考えて作っていく過程で以下のような変更がありました。

得点表

レベルアップするのにカードにホワイトボードで書き込む形を考えていましたが、紙に書き込む形になりました。これはスキルをチップで表現していたり、得点チップを用意する予定だったのですが、チップのコストが割としたことから、紙に書き込む形にすれば比較的安くで着ることが分かったからです。この紙も、内容はさほどかわっていないんですが、最初から比べると進化しています。

最初にテストしたカードタイプの得点表
進化した紙タイプの得点表(初期版)

カード

最初カードは25枚ぐらいでした。4人で、5枚をドラフトするのでそのくらいあればいいだろうと。
安いカード印刷といえばグラフィックさんですが、16 枚と32 枚のプランがあります。ここで、32 枚のプランにするなら 7 枚追加できます。レガシー的に追加カードを検討したりもしました。悪くはなかったのですが、32枚全部カードにしたら6人まで遊べることに気づきました。このゲームは人数が多くてもあまり体験が変わらないシステムになっているので、32枚を全部使えば6人まで遊べます。ということで 32 枚になりました。

ダイス

ダイスの数は、当初 25 個でした。4 人で遊べるようになっていて、1 人 5 個のダイスを使います。さらに、このゲームはカードを全シャッフルしてドラフトをするのですが、これを5ラウンド繰り返すので、カードセットに 1 枚ダイス追加のカードがることで 5 個の追加用ダイスが必要でした。
これが 6 人プレイになり、ダイスの追加カードを2枚にしたため40個必要になってしまいました。4人プレイしつつ、6人プレイしたい人は追加で買ってねっていうスタイルもよかったんですが、全部つけることにしました。

そのほかのシステムの調整

そもそもドラフトしてビルドするという要素からゲーマーズゲームではあると思っていましたが、最初戸惑う方が多かったので入門ルールを追加しました。

細かい数値の調整から、カードの内容の変更、エグゾディアを加えてみたり、ルールに謎なフレイバーテキストを加えてみたり(一度もこれに言及した人はいませんでしたが、僕の趣味です)。

基本ルールはそんなに難しくないと思うのですが、計算や効果がいろいろあるので、記入例やサマリーを用意するなどしてできるだけわかるようにしたつもりです。
ブラインドテストをしたところ、だいたいラウンド1ラウンドやるとみんなわかってくれるので大丈夫そうかなと思っています。

調整の最後の方に、シールならではの「書き加える」効果をつくったのですが、複雑になったので難易度を★★★として、選択ルールにしました。
ちなみに★が入門ルールで、それに★★を加えて通常ルールとしました。

テーマを考える

テーマはいろいろと考えました。宇宙探索、農業、ロボ制作、スチームパンク、海賊もの…。なかでも、ダイスをビルドするという性質からストレートに錬金術が合いそうだなと思いました。タイトルも、ダイスロール + アルケミストで、ロールケミストというのを思いつき、決まりました。

それに伴って、様々な錬金アイテムを使ってダイスや役をビルドしたりスキルを手に入れたりして、マナを生み出すことにしました。このときマナの計算がやや複雑化するのでマナによって名声(勝利点)を得るという 2 段階にしました。

錬金アイテムであるカードも、それっぽい名前にしました。ドッペルゲンガーの影とか気に入っています。イラストは僕がテキトーに書いた絵で行く予定だったのですが、一緒に仕事をしているボドゲ好きの方が書きますよーっていってくれたので、とてもいい感じになりました。ありがとうございました。

新旧、風見鶏のトサカ。新版かわいい。

実は、カードの絵は、ダイスに書き込むマークと同じような絵になっているのです。上のトサカは?マークを書き加えるので、?っぽい形になっています。

最後に

いろんなテストプレイ会に足しげく通い、同僚や友達にもプレイしてもらってブラッシュアップを重ねました。初プレイの人に毎回「完成度高いですね?秋ゲムマ出すんですか?えッ?チャック横丁?いくらですか?ダイス40個入って2000円?」とよい反応をもらえてとてもうれしかったです。

それでは、ゲームマーケットでお会いしましょう。

ルールなど

ルールなど公開しておきます。

ルール

サマリー

得点表

記入例

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