見出し画像

『オフサイド(塀内夏子)』を30年ぶりに読んだ話

北海道在住のコンサポ登山社労士のkakbockです。

最近、塀内夏子さんの漫画が、Kindle Unlimitedで全巻無料なのに気付き、読みまくってます。

登山本つながりで、『イカロスの山』を全巻読んだ後、塀内夏子さんつながりでサッカー漫画の『オフサイド』を読みました。

『オフサイド』は1987年から1992年まで、週刊少年マガジンで連載されていた漫画です。

もう記憶の彼方なので覚えてませんが、最初は単行本で読み始め、途中から追いついて毎週マガジンで読んでだと思います。

ちなみに全体的にネタバレがあります


(1)あらすじ

主人公の熊谷五郎は、中学校時代、恵まれた体格とサッカーセンスで、すごいゴールキーパーでしたが、一度も公式戦で勝てないまま卒業します。

高校受験を控えた五郎と幼馴染の渚は、神奈川県下のサッカーの超名門、横浜南高校(通称・ヨコナン)への入学を目指します。

が、受験日当日に渚が交通事故に遭い、その影響で試験を受けることができず、二人は二次募集でヨコナンの向かいにある私立川崎高校(川高)へ入学します。

この川崎高校で、1年生GKながら、薬丸、シンゴとともに入部し、元ヨコナンのレギュラーでキャプテンの織田の下、ギリギリの人数ながらインターハイの県大会決勝まで進みますが、ヨコナンに負けてしまいます。

その後、南米帰りのキーパー、日比野勝彦の加入により、五郎はフィールドプレーヤーへ転向。

その年の冬の選手権大会では、全国大会ベスト8まで進みます。

五郎は2年生でキャプテンとなり、この年の選手権大会で全国優勝を果たします。

五郎が3年生となり、有望な1年生も入部し、最後の選手権大会では、蕪双(ぶそう)高校を決勝で下し、川崎高校が2連覇を果たします。

そして引退した3年生たちは、それぞれ進路が決まっていきます。

かつてのライバルが同じ大学に進んだり、チームメイトがバラバラの実業団に入ったり。

そして五郎は、ドイツへ海外移籍し、幼馴染の渚が五郎の初ゴールの知らせを聞くところで物語は終わります。


(2)熊谷五郎という男

主人公の熊谷五郎が、すごいいいやつなんです。

サッカー選手としても、ゴールキーパーでもフォワードでも活躍するし、キャプテンシーもあるし、めちゃくちゃ熱いし、まっすぐな男です。

人として良くない態度をとったチームメイトに対し、許せないと思ったキャプテン五郎は、そのチームメイトをボコボコに殴ってしまうくらい熱いです。

そんな五郎は、チームメイトからも絶大な信頼を受けており、みんなに好かれてます。

(3)一番好きなシーン

『オフサイド』で私が一番好きなシーンは、単行本9巻にあります。

五郎が3年生になってからのエピソードで、2年生の阿部と1年生の八木が、不良時代の阿部の仲間に暴行される事件が起こります。

阿部は元不良で、中学校時代サッカーをやりたかったけどできなくて、川崎高校に入ってから本格的にサッカーを始め、初心者ながらレギュラーになったコレまた熱い男です。

そんな阿部を妬んだ不良仲間に、街で因縁をつけられ暴行を受けますが、暴行事件になり大会に出られなくなってサッカー部の仲間に迷惑をかけないため、阿部は絶対に手を出しません。

そこに通りかかった1年の八木の助けもあり、何とかその場は収まりますが、阿部は腕と肋骨を骨折する大怪我を負います。

そして県予選を突破し、インターハイに出場した川崎高校は、1回戦で阿部が復帰し先制点を決め、勝利します。

しかし、2回戦を前に、週刊誌が阿部が暴行された事件と阿部が元不良だったことを記事にすることがわかり、大会委員会から顧問を通じて、週刊誌に記事を出させない代わりに阿部と八木を試合に出さないよう指示がありました。

顧問は、週刊誌に記事が載っては学校としてもマズいので、2人の欠場で納得するよう、五郎たちに話しますが、我らが五郎は納得しません。

熱い男五郎は、大会委員会に突撃します。

五郎は、阿部は5人に一方的に暴行を受けたものであること、通りかかった八木が助けただけであること、阿部は記事のような不良でないことを訴えます。

それに対して大会役員(強豪校の顧問達)が、『君は現場にいたのか?いなかったのに詳しく知ってるのは本人から聞いたんだろう?本人が試合に出たいがために自分の都合のいいように取り繕って行ったとは思わないかね?』と聞いてきます。

五郎は、『思いません。ぼくはチームメイトの言うことは一言一句信じていますから。』と答えます。

コレを聞いた大会委員会の偉い方も心を動かされ、この処分はなくなります。

心配してついてきたチームメイトもこの場面を見ており、阿部も五郎の言葉を聞いていました。

阿部はひとりトイレに行き、五郎の言葉に対して『あの一言で充分だ。あの一言で多分これから先どんな辛いことがあっても耐えられる。そしてたぶん、もう自分は生涯サッカーから離れることはできないだろう』と言って泣きます。

久々に漫画で感動しました。

30年前にココを読んだ時の記憶はありませんが、30年前の自分には、ここまでこのシーンは響かなかったと思います。

サッカーとは関係のない部分でしたが、凄く心に響いてしまいました。


(4)まとめ

オフサイドは、30年以上前のサッカー漫画のため、ルールや使われるサッカー用語が今と違う部分が多々あります。

ただ、作者の塀内夏子さんもおっしゃってるように、過去のサッカー大作とは違い、部活に打ち込む近くにいる男の子の青春を描いている漫画なので、感動するのはそこじゃないんです。

五郎やそれ以外のキャラクターのちょっとしたやりとり、そして周辺の物語が、ほろ苦いというか、少しだけ自分の昔のことを思い出すというか。

全15巻を読み終わって、陳腐な感想ですが、爽やかな気持ちとちょっとだけ胸がキュッと苦しくなるような感覚になりました。

自分にこんなところがまだ残ってたんだ、、と思わせてくれた作品でした。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?