秋は空きを愉しみませんか──お盆明けから年末にかけての時間の流れについて思うこと
買うものがあったので、帰りにショッピングセンターに立ち寄ると、もうハロウィン雑貨が並んでいました。
この時期は毎年のことだけど、やっぱり違和感を覚えます。
年々夏は過酷さを増すのに、
秋冬のイベント支度は暑い時期から怒涛の勢いで進められていくことについて。
昨年は、9月初旬からクリスマスケーキの予約受付開始の広告を貼り出しているお店も見かけました。
この国では多くの人が創作を楽しんでいるので、季節に対する感性もきっと細やかで研ぎ澄まされている人が多いことだろうと思います。
なので、お盆明けから年末にかけての時間帯が、まるでイベントのために流れているような状態、
イベントとイベントの間の時間が、まるでCMを早送りするかのように飛ばされてしまう流れを、
寂しく思っている人も、きっと私だけではなく、たくさんいらっしゃるだろうと思っています。
お盆が明けてから年末にかけて、
イベントに次ぐイベントを準備する慌ただしさで、空白の時間は埋め尽くされ、締め出されていきます。
創作を趣味とする人達は、これをどのように感じながら、季節を表現されているのでしょうか。
私はというと、この時期毎年、人生を急かされているように感じます。
そして現代日本に於いて、季節のささやかな、あるいは壮大な美しさを表現しようと思えば、多くの問題を見て見ぬふりしなければならないことを、とても残念に思っています。
秋は、古くから歌人達に人気の季節でした。
歌集に歌をとられている歌人の多くは京都(盆地)の人達なので、きっと暑い夏のあとの秋が待ち遠しかったのでしょう。
遡って、古代中国や上代日本は、
秋に「素・白」の色を与えました。
この素・白は、雪のようなホワイトのことではなく、無着色、無漂白の意味を持っています。
例えば、稲羽の素兎は、雪の色の兎のことではなく、野生の茶色っぽい兎を指すと言われています。
赤と金の詩人と呼ばれる北原白秋の雅号は、この素い、白い、秋に由来しています。
ここまでに述べた秋に関連する色や状態をまとめると、こんな感じです。
現代には空白恐怖症という言葉もありますが、
秋は、空白の時間というか、
素直な時間を
もっと満喫しやすくなってほしいな、
というのが私の希望です。
個人的には9月と11月を
強化月間とさせていただきたいです。
「お盆明けからハロウィンまでの間の月」
とか
「ハロウィンからクリスマスまでのつなぎの月」
なんて呼ばれていること(扱われていること)
が、とても悲しいから。
9月には浅瀬のような初秋を
11月には重厚な晩秋を
本当はもっと、感じられる筈です。
以上です。
まとまりのない文章をここまで読んでくださり有難うございます!
早倉線より