5年という歳月を、写真によって”変化”を感じた|静かな漁港
5年ほど前、
小学生の頃からの幼なじみと、思いつきで四国へふらっと旅に出た日のこと。
季節は春だったか秋だったか、忘れてしまったけれど
あまり暑くない季節で、旅の最中はいつも曇り気味の空だった気がする。
パキッと晴れて、空気が澄んだ空が良かったな。
少し霧がかった灰色の空をみて、
そんなことを思っていた。
小豆島、豊島、直島あたりを巡って、
「そういえば小豆島を”あずきしま”って読む人いるよね」
みたいな、くだらないけれど、
どうしても笑っちゃうような話をたくさんした。
四国から東京に戻ってきて、
フィルムカメラで撮影した使用済みのフィルムを
いくつか現像に出した。
使ったフィルムはなんだったか忘れてしまったけれど、
まだKodakのフィルムが手軽に手に入って、好んで使ってた頃だから
たぶんKodakだったんだと思う。
もともと、Kodakのフィルムは
黄色を、きれいにそしてレトロな雰囲気で写してくれる。
どこか懐かしくて、暖かい色味が好きだ。
だから、きっと、曇り空も
Kodakのフィルムと相性が良い。
そう予想しながら、
現像した写真を眺める。
予想していたように
曇りの様子がそのまま写真に反映していた。
パキッとした青い空ではなく、
なんとなくぼんやりとした風景。
静かだな。
と、この写真をみた時に、思った。
そのまま、データ化した写真は
PCのフォルダの中にそっと保存された。
5年後に変化した気持ち
正直、5年前の旅行のことなんて、
ここ最近はすっかり思い出すこともなくなっていたし、
そもそもデータ化した写真の存在すら、忘れてしまっていた気がする。
だから、ふと気まぐれに、
PCの中のデータ整理をはじめた深夜、
フォルダを開いて衝撃だった。
あの時は感じなかった、ぐっとくるきもち。
何がそうさせているのかは
よくわからないけれど、
じっくり熟成させた写真は、
5年前の自分を褒めてあげたいくらい、
素晴らしい作品として
再び再開することができた。
5年で自分の心の中が、
どんなふうに変化したのかは
よくわからなかったけれど、
『今、会うべき時が来たな』という気がする。
久しぶりに再会した写真を眺める。
いくつか少し大きめにプリントして、
額の入れて飾ろうかなと、思ってる。