寄付の集め方がライトであっても、現場がライトであってはいけない

先日このnoteを書きました。

でも、このnoteに関する感想が「そうだよどんどん寄付をライトにしていこうよ、いいことなんだから人の善意に文句つけることないじゃん!」というかたちでシェアされてしまい、「そうか、そんなふうに捉えられてしまうのか」と悲しく思ってしまった。

寄付のあり方や広く一般の関わり方はライトであっていいんだけど、そんな寄付を受け取る私たちNPO自身は、自分たちが日々担う現場に対してチャラくあってはいけないと思う。自分たちの現場にこだわりを持って、NPOとしての専門性を追求して、ひとりひとりの当事者のことを考え続けなければいけない。「いいことなんだから人の善意にケチつけることない」は確かにそのとおりなんだけど、「それが本当に"いいこと”になれているかどうか」は、寄付の受け取り手が突き詰めて考えていかないといけない。

だから、私はこの記事の最後にこんなふうに書いた。

※ちなみにわたしはいちNPOのなかの人だから、「これ質低くない?」とか「これやってて意味あるの?」とか「かかる費用に対して成果低くない?」とかはガンガン言います。そりゃー、信頼されて寄付託されてる側なので、自分たちをきっちりディスりながらがんばります!笑。他のNPOさんから、うちのNPOに対してがっつりきつめのフィードバックをいただく機会とかつくりたいものです。お互いのNPOをディスる会とかしませんか?^

自分たちのやってきたことを否定するのを厭わないわたしたちでいたい。「この事業は本当に意味あるのか」と突き詰めて考えられる組織でありたいと思う。そして、現場のスタッフが自分たちのこだわりを突き詰められる組織をつくりたいと思う。

現場は本当に最前線で、思っていなかったことの連続で、NPOとしては理想を掲げているのに圧倒的な現実にさらされて苦しむスタッフがいる。「自分たちはこれでよかったよね、できること最大限頑張ったよね」と思考停止して自分たちを肯定してしまうことは簡単だけど、そんなことできないししたくないスタッフがいる。高校生ひとりひとりを見つめて「自分たちのやってきたことって意味あるの?」って何度も否定しながら、泣きながら進むひとたちを脇目で見ながら、なんとか、支えたいと思った。わたしがD×Pで働いた5年間は、そういう5年間だった。

ライトに寄付を集めることを開拓するけれど、現場はライトではいけない。こだわりもって「現場の実態」のクオリティを上げ続けることを突き詰めたい。そしてそれはとても苦しいことだから、ひとりひとりのスタッフを支え続けられる組織であり経営でありたい。

…そんなふうに思ってこの記事を書いていたときに、ちょうど来栖香さんがFacebookでこんなふうに私の記事をシェアしてくださってありがたかった。引用させていただきます!

ユーチューバーまたはポルカのようなフレンドファンディング的な個人による寄付の台頭。しかしながら、このようなお金は当事者コア層には届きにくいのではないかと。どう使われるかが気になる。

また、入谷さんのご指摘のとおり社会問題にライトに関わりたい人が、ライトな寄付やボランティアをするのは大歓迎だが、NPOは信頼のもと成り立っている団体であり、そこに価値があると思うので、NPO関係者は業界の「信頼」に影響する動きについてお互い厳しく言及していく姿勢が必要に思う

(来栖香さんのFacebook投稿を引用。太字は入谷によるもの)

まさに、NPOは信頼のもと成り立っている。NPO自体が業界として建設的にディスりあい、よくしあえる関係になりたいってわたしは思う。

ライトに寄付を開拓することの裏側に、「託された信頼を受け取る」というとても重たい仕事があることを、忘れずにはいられない。

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入谷佐知さっちん
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