後悔しない人生を送りなさい。最後はだれでもが一人になるんだから。
福祉施設で働いてた頃に言われたこと。
仕事柄その人の人生に触れることがある。相手がどのような生活をしどのように生きてきたか、相手は知られたくないかもしれないけど、残りの人生が豊かになるよう出会ったからには幸せな余生であってほしい。ちょっとタイムスリップをしたかのようにファイルの書類に目を通させて頂く。仕事一筋だった方、子宝に恵まれ子育てに追われた方、早くに相手に先立たれたが、再婚はせず一心に思い続けた方、人の分だけ多くの人生とドラマがこのファイルには記載されている。その中でも、ひとりの女性の思い出が今でも忘れられない。
Alexas_FotosによるPixabayからの画像
出会った頃は、歩行もできて自分でなんでもできる人だった。家族の面会も多く性格も穏やかな方だった。しかし、老いと病気により段々と緩やかに少しずつ体の不自由さが増えていった。ゆっくりと確実に進む老いに恐怖を感じていたかもしれない。でも、そんなことに対して一言も愚痴をこぼさず、いつも穏やかににこやかにされていた。私たちに対しても優しいかたで、みんなが子供の話や旅行の話、仕事や恋愛話など、たくさんのことを話した。深夜でもいつでもみんなの相談相手にもなってくれた。
Eduin EscobarによるPixabayからの画像
月日は、過ぎてゆき、彼女はとうとう歩けなくなり食欲も低下していく。
家族も元気づけようと、好きな食べ物や写真をたくさんもってきてくれた。誰に対しても、どんなときも、いつもにこやかに穏やかにされていた。
そんな彼女が、私たちも大好きであり尊敬していた。寝たきりになる日も多くなったが、それでもいつも私たちを笑顔で迎えてくれた。部屋を尋ねれば、たわいのない話をして過ごした。
Esi GrünhagenによるPixabayからの画像
ある日、彼女は病室で私に訪ねてきた。「毎日は、楽しい?」と
私は、少し困った顔で「楽しいと思うよ。」とそれしか答えられなった。
当時の私は、だんだんと周囲が結婚や子供の誕生、仕事での昇進といった新たなスタートを切り出した時、自分はこのままでいいのかな?と感じはじめた。仕事は嫌いじゃないし、むしろ楽しい。現状に不満もない。けど、なにかが足りない。やりたいことも、したいことも。時間がない。休みがないというなにかしら理由をつけて行動を起こさない時期だった。
何かの感じとったのか、彼女はそっと私にこのことばを添えた。
「後悔しない人生を送りなさい。最後は誰もがひとりになるんだから。」
どこで、なにをしていても、いくら家族に看取られて亡くなっても、
人生の最後の瞬間は、一人で幕を閉じるものだから。
だから、なにをやってもいいんだよ。そう感じ取れることばだった。
Alexas_FotosによるPixabayからの画像
その方は、もうこの世にはいない。
しかし、その言葉と出会いは今もこれからも忘れることないだろう。
私自身の原点となったことばだから。
だからこそ、私は今もこれからも旅を続ける…
※一番上画像:Free-PhotosによるPixabayからの画像
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