ジェンダーという魔物
もう一つの地雷原について書きます。
(今、一緒に住んでいる人を○○くんと呼ぶことにします)
○○くんと結婚したのは12月。
初めて離婚を考えたのはその年の暮れ。
結婚して3週間のことだった。
年末大掃除をしていたある日。
1日中掃除をして
「これは頑張ったぞ!
褒めてもらえるレベルだな。」
とワクワクしながら
○○くんの帰りを待っていたら
帰ってきた○○くんが
玄関を入ったすぐの
扉の窓枠を指でなぞり
埃を指に乗せながら言った。
「1日何してたの?」
わたしはあまりの言葉と行動にキレて
そのままひと晩寝ないで風呂掃除をした。
それから掃除はわたしたちの鬼門になった。
毎年繰り返される年末大掃除での大喧嘩。
そのうち年末に掃除をするのは止めた。
普段の掃除も上手くいかない。
「きれい」と思うレベルが違う。
わたしは平気でも、○○くんにとっては
気になる箇所がいくつもある。
部屋は綺麗な方がいい。
それはそうだろう。
初めは見習って掃除をした。
だんだんどこに目がいくか
わかるようになった。
それなりに掃除できるようになった。
でも心が休まらなくなった。
家にいても
あそこやあっちが気になる。
ほっておくと、きっと言われる。
家に小姑がいるみたい。
料理を作る時もそうだった。
熱いものは熱く
冷たいものはキンキンに
どの食事も揃って熱々でなければ
ならなかった。
なおかつ
料理が出来上がったら
台所も片付いていないとダメだった。
「(料理が出来上がった時に)
なぜ鍋が汚れたままなの?」
要領よく
片付けまでできるなんて
どうやればいいか
わからなかった。
○○くんがバイクで怪我をした。
3箇所骨折して
ひと月以上入院した。
その後、自宅療養。
リストラされて無職になった。
怪我をしてリストラされたら
普通は落ち込むと思うのだけど
○○くんは
毎日楽しそうに暮らしていた。
リハビリだと言って
買い物をしてきた。
次は、リハビリだと言って
夕飯を作ってくれた。
掃除もしてくれるようになった。
ある日、仕事帰りに電話したら
「お風呂にする?食事にする?」
と聞かれて驚いた。
ドラマで聞いたことがあるセリフだけど
自分が聞くとは思わなかった。
「先に食べようかな。」
「了解!」
わたしは家のお父さんだったのかな?
不思議な気分で帰途についた。
それから一年半。
○○くんは主夫になった。
子どもはいなかったので
わたしの稼ぎと貯金で暮らしていけた。
共に暮らした中で
一番穏やかな日々が過ぎた。
「稼いでくれるなら
いつでも主夫になりたい。」
そう言いながら○○くんは働く。
もしも…
働くことが、辛い役回りだったとしたら?
自分に重ねてみる。
家にいるだけで
主婦という役割を押し付けられる自分。
家事をするのが当たり前。
それが自分の役割。
そのことが一番我慢ならなかった。
『家事はあなたの役割。』
そう思われていることが感じられて
いつも居心地が悪かったのは
本当は主婦の役回りをしたかったのに
男性というだけで
仕事に行かなければならなかった
怨念のようなものが
○○くんから出ていたんじゃないかな?
だから
いつもは温厚なのに
家事にだけは厳しく冷たかった
ということではないのかな?
と気づいた。
先週土曜日の出来事を
そのうち書こうと思うけど
その時わたしは
○○くんに対して
「彼女か!」
と心の中でツッコんでいた。
被害者ぶっていて
その考え方と行動を
心の底から面倒くさいと思った。
偶然その日の夜
何かしたことがきっかけで、娘が
「○○ちゃん、めんどくさ。」
と言った。
同じ気持ちだったので
「そうだよね。」
と言ったら、娘が続けて
「女みたい。」
と言った。
「ほんと、そうだよね。」
と言いながら、ふと思った。
わたしは
体は女性だけど頭の中は男性かもしれない
とnoteに書いたことがあるけど
○○くんは
体は男性だけど頭の中は女性なんじゃないかな?
本当は女性として主婦をやりたい。
それなのに、体が男性だから
働きに出なくてはならない。
家にいられたら…
掃除も料理もあんな風にしたいのに。
そう思うから
わたしに厳しいのではないのかな?
そう思うことで
腑に落ちたことがたくさんあったので
「そうかもしれない。」と思った。
だから、付き合おうと言ったのも
プロポーズもわたしからだったのかもしれない。
いつも守ろうと思ってくれていない
と感じるのは
本当は女性として
守ってほしいと思っているからなのかも
しれない。
いつも助けてくれないのは
自分が助けてもらう立場だと
思っているからなのかもしれない。
そう思うと
彼もまた辛かったのかもしれない。
と思った。
追記
今回のnoteは勘違いされる文面かもしれないと思うので書き足します。
○○くんは
普段は温厚です。
とてもよく気がついて
知らないうちに用意が整っていたりと
気遣いがよくできる人です。
みんなにいい人と言われています。
家でも最近は
週に2回夕飯を作ってくれますし
買い物は全部行ってくれます。
○○くんが料理をすると
確かに全てが熱々で出てきます。
冷や奴にはネギとおかかと生姜まで!
乗って食卓に並んでいます。
料理が出来上がった時には
使った鍋は全て洗い終わっています。
出かける時は
前の日から用意をして
出かける前には全ての用意が整います。
「どうして洗い物をしたのに
コンロが油で汚れたままなの?」
(眼鏡をしてないので見えていません)
「どうして夕飯時の食卓に
茶碗が(箸が)出てないの?」
(料理を熱々で出すので精一杯です)
気がついてるなら
やってくれたらいいじゃん!
なぜ、手伝おうとしない?
なぜ、それを
わたしの役割だとばかりに
やらずに
人に押し付けるのか。
その疑問が
ジェンダー(社会的役割)という言葉で
「なるほどね。」
と心にすとんと落ちたのでした。
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