すがすがしいのはお前だけじゃ!!!
妊婦健診の朝。
どうしても和食が食べたくて、夫にレンチンを依頼した。
本音を言えば作ってほしい。
でも、彼には言えない。
結婚5年目。ゆで卵って1分煮たらええんやっけ?と聞くヤツへの期待はない。
妊娠7ヶ月の重い体を引きずり、前日の夜に用意した。ご飯・みそ汁・たまご焼き。
せめてレンチンくらいは…とメニューを伝える。2歳の息子でも知ってる単語ばかりだが、3回は聞き返された。
「ご飯できたよー」夫の声で飛び起きた。朝から和食。誰か(昨日の私)が作ってくれたごはん。さいこう。
食卓には理想通りの朝食が並んでいた。ようやく保存容器から食器にうつすのを学んだらしい。
メガネをかけて箸を持つと、少しだけげんなりした。保存容器の形状を崩してない鮭ごはん。昨日夫が詰めたギッチギチのまま。
久しぶりだから仕方ない。わざわざ言うほどのことでもない。
みそ汁に視線をうつす。
季節のお野菜が入った彩ばつぐんのスープ。さつまいもさいこう。
一口たべてみる。生ぬるいを通り越して、もはや冷や汁。温め時間30秒ですか??と聞きたいレベル。
みそ汁をこよなく愛する息子が、「バナナ タベル!」とごね始めた。
「こっちの玉子焼きにしなよ!」と渡そうとしたが、キンキンに冷えてやがったので引っ込めた。さすがに軽く注意したら、「そうなん?」で終わった。
私が毎回出来たてを提供していた労力とは。夫には何ひとつ響いてなかったのだ。
たまーーーに料理をする夫に、毎回伝えていることがある。
勝手なアレンジはするな
鉄人レシピは見るな。まずは一般人になれ。
もう一度言う、勝手なアレンジはするな。
最後に目に入ったのは、ブドウにヨーグルトだけが乗った謎アレンジのデザート。私がつくるときは、バナナにヨーグルトをかけて、フルーツソースを足している。
すごい勢いで息子がぶどうだけを食べ始めた。「ブドウ タベタ! バナナ タベル!」
その頃わたしは、みそ汁に混入した夫のちぢれ毛をげんなりと持ち上げていた。
夫のアホそうな顔が目に入る。
目を細めながら満足そうにつぶやいた。
「今日はすがすがしい朝だなー😊」
わたしはついに爆発した。