ラベルで覚える高級ワイン
最終更新日:2019/10/23
1)DRC
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ(Domaine de la Romanée-Conti)
フランス・ブルゴーニュ地方にあるワイナリーで、世界でもっとも高値で取引されるワイン醸造所のひとつ。
1-1)ロマネ・コンティ Romanée-Conti
言わずと知れたワインの頂点。
ピノ・ノワール種の特級畑(グラン・クリュ)の名称であり、また、その畑のブドウから造られる赤ワインのこと。
生産本数は年間5500〜6000本ほどしかなく、当たり年なら数百万の値がつく。
1-2)ラ・ターシュ La Tâche
DRCのNo.2で、しばしば『ロマネ・コンティの腕白な弟』と呼ばれる。
余韻が長いのが特徴的で、「クジャクの尾」と表現される。
良い年は、ロマネ・コンティと肩を並べると評されるほど。
1-3)リシュブール Richebourg
DRCのNo.3で、単一所有(モノポール)ではないグラン・クリュの最高峰。
年間生産数は約12,000本。
当たり年には、ラ・ターシュと同レベルの評価を受けることもある。
1-4)ロマネ・サン・ヴィヴァン Romanée-Saint-Vivant
名前の由来は、中世時代に特級畑を数多く所有していた「サン・ヴィヴァン大聖堂」から。
『もっともエレガントで女性的なワイン』と評され、他のDRCのワインと比べると軽やかな味わいである。
1-5)グラン・エシェゾー Grands Echézeaux
グランとは「grands=大きい」という意味であり、香りの複雑さやボリューム感、味わい深さなどにおいて、エシェゾーとは一線を画している。
DRCのHPでは、「キノコや腐葉土が広がる深い森の中を、馬にまたがりゆったり散歩をする夢見がちな貴族のよう」と称えており、また、味については「洗練されたミュージカルの歌詞のようでもあり、モーツァルトの管弦楽が発する純粋なメッセージのようでもある」と表現している。
1-6)エシェゾー Echézeaux
香りのボリュームと濃縮感があり、DRCの中では比較的カジュアルに愉しむことができる。
この畑の生産者は多数いるが、その中でもDRCは圧倒的に高い評価を得ている。
1-7)モンラッシェ Montrachet
DRCが造る唯一の白ワイン。
モンラッシェというシャルドネ種100%のグラン・クリュは、平均樹齢62年とかなり古く、生産本数は「ロマネ・コンティ」よりも少ない。
フランスの小説家アレキサンドル・デュマが、「脱帽し、ひざまずいて飲むべし」と賞賛したのは有名な話。
1-8)コルトン Corton
2009年から発売開始されたDRCの中では最も新しいグラン・クリュで、DRCがボーヌ地区から生産する初めての赤ワイン。
2.5ヘクタールで栽培される高樹齢のブドウの木から採れたものだけでブレンドされている。
1-9)マール・ド・ブルゴーニュ Marc de Bourgogne
あまり知られていないが、DRCはマール(ブドウの絞りかすを蒸留したもの)も製造している。
ロマネ・コンティの絞りかすを使ってつくられる唯一の蒸留酒。
天にも昇るような美しいアロマが感じられるだろう。
2)ボルドー五大シャトー
1855年のパリ万国博覧会において、フランスのボルドー・メドック地区の格付けで『第1級』の称号を与えられた5つのシャトー(醸造所)のこと。
2-1)ラフィット・ロートシルト Lafite-Rothchild
五大シャトーの筆頭として君臨し続ける赤ワイン。
『五大シャトーの中で、最もエレガントで繊細なワイン』と称される。
2-2)ラトゥール Latour
「不作知らず」とも呼ばれるほど安定したワインを作り出すシャトー。
ラベルに描かれている塔は、15世紀に土地を所有していたイギリス人が海賊の攻撃から身を守るために築いたもの。
2-3)マルゴー Margaux
『フランスワインの女王』と呼ばれるほど、ボルドー・メドック地区の中でも、最も女性的とされるワイン。
ヘミングウェイがこよなく愛したことでも知られる。
2-4)オー・ブリオン Haut-Brion
五大シャトーの中で唯一、メドック地区以外から選ばれたシャトー(グラーブ地区にある)。
1814年のウィーン会議での晩餐会でもてなされ、『フランスを救った救世主』という異名をもつ。
他のメドック・ワインに比べるとメルローの比率が高いため、渋みが少なく柔らかさがあり、「5大シャトーのなかでは最も外向的で軽いワイン」と表現される。
2-5)ムートン・ロートシルト Mouton-Rothchild
1973年の格付けで、第2級から第1級へと昇格したシャトー。
フィリップ・ロスシルド男爵が残した 「ついにわれ第1級なりぬ、かつて第2級なりき。されどムートンは昔も今も変らず」という言葉はあまりにも有名。
毎年ラベルが変わるので、ワインコレクターにも人気のシャトーである。
3)その他の高級ワイン
3-1)ペトリュス Petrus
フランス・ボルドー地方ポムロール地区にあるワイナリー、またそこで造られるワイン。
通称『ポムロールの王』
生産数がかなり少なく、五大シャトーよりも高値で取引され、世界で最も希少なワインのひとつである。
ワイン評論家のロバート・パーカーが、「ワインというより神話の象徴」と賞賛したほど。
ラベルに描かれているのは、天国への鍵を手にした聖ペテロ。
3-2)ル・パン Le Pin
フランス・ボルドー地方ポムロール地区にあるワイナリー、またそこで造られるワイン。
通称『シンデレラワイン』と呼ばれ、ペトリュスとともにポムロールを代表する二大高級ワインとされる。
ロバート・パーカーが「魅惑、魅力、そして純粋な飲む喜びという点において、ル・パンの右に出るものはない」と賞して以来、価格は五大シャトーのずっと上をゆく。
ちなみに、ル・パン(Le Pin)とは「松の木」という意味。
3-3)ディケム Dyquem
フランス・ボルドー地方ソーテルヌ地区は、世界三大貴腐ワイン産地のひとつ。
シャトー・ディケムは、その中で最も有名で評価の高いシャトーである。
ちなみに、三大貴腐ワインの残りの2つは【トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ(ドイツ)】、【トカイ・アスー・エッセンシア(ハンガリー)】である。
3-4)オーパス・ワン Opus One
アメリカ・カリフォルニア州ナパ郡にあるワイナリー、またそこで造られるワイン。
音楽用語で「作品番号1番」の意味で、「一本のワインは交響曲、一杯のグラスワインはメロディのようなものだ」という考えからロスチャイルド男爵が命名したもの。
3-5)スクリーミング・イーグル Screaming Eagle
アメリカ・カリフォルニア州ナパ・ヴァレーにあるワイナリー、またそこで造られるワイン。
1992年のファースト・ヴィンテージでパーカーポイント99点を獲得し、現在は『カルトワインの王』と称される。
(カルトワインとは、ナパ・ヴァレーで造られる極少生産の高品質・高級ワインを指す)