日記|私は、食い道楽。
はじめに
するめです。最近、noteに書くネタが尽きてしてまい、書きたいけど、書けない。そんな日々を過ごしていていました。
多分、頭の中のアウトプットが尽きてしまったことを意味するんだと思います。書きたい欲はあるので、何も起こらない日常を日記にすることにしました。
人には、色んな道楽がある。
骨董品を集める道楽や、絵画を集める道楽に、切手を集める道楽。
今の時代だと、アイドルを推す道楽なんてものもある。
私は、大阪出身の生粋の食い道楽である。
大阪は逢坂と呼ばれている時代から、全国各地の美味しいものが一同に集められていた。
だからといって、大阪に色んな種類の美味しいものがあるか?と聞かれれば、いつも私は「ソースの味のものしかない」と答える。
大阪を代表する食べ物は、たこ焼き、お好み焼き、焼きそば。
どれも、炭水化物とソースをブチかけた食べ物で、そのソース味を紛らわすためにまた、ご飯という炭水化物と一緒に食べるという奇行を他県の人から気味悪るがられても、ヘラヘラと笑うのが大阪人だ。
子供の頃は、お小遣いは全て駄菓子につぎ込んでは、授業中に「誰かシャー芯ない?」と毎回誰かに、たかるような生活を送るほどだった。
大人になった今でも、シャーペンの芯は自分で買ったことがない。
私の家族も、食い道楽ばかりで、大皿に載せたおかずは、瞬く間に消えて、ご飯で腹を満たしては、デザートにフルーツを食べて、ケーキを食べるような大食い家族でもあった。
家族でご飯を食べる時は、グルメ番組を見ながら「ここのご飯屋さん美味しそうやな~」と口をモグモグさせて、なんだったら口の横にソースをつけて言うぐらいだった。
お父さんがボーナスを貰ってくると、必ず外食をしていた。
その外食が美味しかったら「ふんふん。分かったこれは、かつおだしにカボスを少し垂らしているんやな」とお母さんが探偵のように推理をし始めて、兄弟も「あれも、入ってる」お父さんも「これも、入っている」と急に産業スパイのようにお店の味を推理したかと思うと、次の日には、お母さんが「あの店より、美味しい鍋作った!」とドヤ顔しながら土鍋を持ってくる。
そんなお母さんの鍋を食べながら、お父さんは「これ!これ!この鍋の味や!お母さんお店出来るで!」と調子いいことばっかり言うのが、私の家族だ。
そんな先鋭部隊のような食い道楽一家から生まれた私が、食い道楽にならないはずがない。
今では、私も産業スパイだ。
産業スパイの妻を持つ、私の夫は、とんと食に興味が無かった。
出会った頃は、毎日仕事帰りに、本家かまどやに通っては、唐揚げ弁当か、のり弁の二種類を食べていると聞いて、驚いたことがある。
「毎日なん?」と聞くと。
「帰り道にあるからな~」と呑気に答える夫が、宇宙人だと思っていた。
だが、産業スパイの私と一緒に長年居ると、食い道楽はどうやら移るようだ。
グルメ番組を見ていると夫が
「この食べ物どんな味がするんやろうな~ジュル」
そう、想像して、涎をすすっていた。
こともあらげに、映像を見て、実際の食事を想像してしまったのだ。
これで、食い道楽への洗脳は完了したと私は確信した。
そんな食い道楽夫婦は、長野県は安曇野市に行った。
私の周りでは、私が安曇野に出掛けたというと「りんごの仕入れに行ったの?」と言われる。
もうそれは、大量にリンゴを買う。車で行くと空いてるスペースがリンゴだらけになる。トランクも後部座席も。
で、食べきらないので、みんなにお裾分けをするので、友達からは安曇野へリンゴの仕入れに行ってる言われるのだ。
いつもリンゴの仕入れに行くのは、安曇野市の堀金というところに「アルプス安曇野 ほりがねの里」という道の駅だ。
みんな大好き、道の駅。
家の近くに道の駅なんか出来た日には、一生涯そこに住み続けると誓うだろうし、なんだったら、庭で作物を作って「私も今日から生産者!」なんて言って小遣い稼ぎをするはずだ。
この「アルプス安曇野 ほりがねの里」も例外なく、大人気な道の駅で、農作物ももちろんのこと、加工品の種類が沢山ある。
南アルプスからの恵みである水で作られた様々な農作物。それを余すことなく作った加工品。
見ているだけで、ジュルっと。
涎をすすらなくては、食い道楽の恥である。
その「アルプス安曇野 ほりがねの里」で大人気はおむすび弁当である。
道の駅に併設されているご飯屋さんの名前が「かあさんのおむすび店」という、今にもフェミニストが「ムキー!」と怒ってきそうな店名だが、本当に農家のお母さんたちが、毎日一生懸命に作っているお店なんだから、怒らないで欲しい、知らんけど。
その、かあさんのおむすび店では、おむすび定食なるものが食べさせてくれるらしいが、お持ち帰りできるお弁当もある。
このお弁当を、農家のお母さんが道の駅に、補充してこようもんなら「おむすび~おむすび~」とおむすび弁当を求める人達がぞぞぞっと集まっては、すぐに完売してしまうのだ。
夫も、そのおむすびゾンビたちの群れに入って、おむすび弁当を買ってくれたのだが、一口ほうばって分かる、お米の美味しさ。
これが、日本人がCMによって刷り込まれた「米が一つ一つ立つ美味しさ」なのだ。
米が旨い!旨すぎる!ちょこっと唇にネギ味噌がついてたのでペロッと舐めてみると・・。
ネギ味噌旨すぎる!!なんじゃこれ!!どえらいもん農家のお母さんが作りよったで!!
そうすると、急に産業スパイな私がやってきて「ふむふむ。味噌に、砂糖に、みりんかな~」と推察す・・・いや、それは嘘だ。
もう旨すぎて、バクバクと食べて、気が付いたらおかあさんのおにぎりは手から消えてしまって「おむすび~おむすび~」とゾンビ化したのだった。
産業スパイの夫がネットの海から探してくれたのだ。
お味噌は「アルプス安曇野 ほりがねの里」で購入していたので良かったのだが、みりんと砂糖を切らしてしまっていたので、近くのトップバリューに行って、砂糖を買って、みりんを買っ・・・。
みりんが無い!みりん風味調味料しかない!!
トップバリューの真ん中で叫ぶ「世の中からみりんは消えてしまった!!」
もう、世の中の人達は、煮物を作らないのだ。
もう、企業がご丁寧に出汁とか醤油とかいろんな調味料を合わせてくれたものを作ってくれてるからわざわざ、みりん単体で買わないのである。
困った世の中になったもんだぜ!!とみりん風調味料を手にとり、お買い物を済ませ、意気揚々と帰路につく。
みりん業者もビックリする。あんなにみりんはどこだ!みりんはどこだ!これはみりん風調味料であって、みりんではない!と豪語していた女が結局、みりん風味調味料を片手に帰っているのだから。
キッチンで、お味噌と砂糖とみりん風味調味料を1:1:1で合わせて、かき混ぜる。砂糖が溶けにくい場合は、レンジで30秒ほど温めてまたかき混ぜる。
それから白ネギをみじん切りなんぞにして、合わせるとなんと美味しいネギ味噌の完成だ!
ご飯にかけて食べると、胃袋宇宙に消え。
納豆にかけて混ぜて、からしも混ぜると、何とも言えない旨さの後味になる。
夫婦二人で「旨い!旨い!これはめし泥棒じゃ!」とガツガツ飯を食い、ふぅ~。
お腹いっぱいになって、うとうとするのが、食い道楽の幸せ。