春の行き先
あわてん坊はサンタクロースだけではないらしい。
春が風に乗ってふわっと飛んでいき、かわりにあわてん坊の夏がやってきた。まだ4月ですよ。
そんな初夏のような陽射しの日。久しぶりにエミリ・ブロンテの小説「嵐が丘」を読みたくなり図書館へ行った。
パラパラとページを飛ばして、適当に開いたページを読む。
「嵐が丘」は結構めちゃくちゃな小説だけど、たまにこういう風景描写がある。小説の舞台は19世紀前半のイギリスの田舎だと思うんだけど、僕の子供の頃の団地の記憶と妙に親和性があって、少し感情移入してしまうのだ。
この季節の図書館にはだいたい、本を読みながら寝落ちして、春眠暁を覚えずモードに深く入っているおじいちゃんおばあちゃんが2人くらいいる。(たまに僕も仲間に入れてもらう)
建物全体に静かに広がっていくのどかな空気。春にぴったりじゃないかと思う。去年も思った。毎年思っている気がする。
なんだ。春は飛んで行ったのではなく、図書館にいたんだ。
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