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映画感想文「マイスモールランド」在留外国人を考える、エンタメができるのはこういうことだね

怒りと希望が入り交じる不思議な映画だ。

在日クルド人のサーリャは日本で育ち、小学校教師を夢みる高校生。しかしある日在留資格を失い、隣の県の友人に会いに行くことも働くことも禁じられ、普通の生活が送れなくなり、理不尽な日本社会と向き合うことになる。

外国人の親を持ち日本に生まれながらもアイデンティティについて悩んだという30歳の川和田恵真監督によるデビュー作。

同じく「日本で生まれた外国人」である、5か国のルーツを持つ嵐莉菜が初演技と思えぬ秀逸さ。本職のモデル業で見せる華やかさを封印し、繊細で儚げ、そして芯の強い少女を堂々と演じる。

相手役の奥平大兼も少年から青年になる過程の高校生を瑞々しく演じ、好演。ふたりの青春物語としての爽やかさが過酷な現実の一般化に寄与し、物語の癒しでもある。

こんなにも身近な所で生きる権利が踏みにじられている人が存在することに改めて愕然とする。

そして、それでも随所に希望が残る描き方に監督の強い意志を感じる。エンターテインメントができることってこういうことだとしみじみ思う。

超絶おすすめ。

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