映画感想文「僕らの世界が交わるまで」似た者親子が互いの存在に気付くまでを描く意欲作
似た者親子だ。
バリバリの社会派で、DVにあった女性達を匿うシェルターを運営する母エヴリン(ジュリアン・ムーア)。施設にやってきた貧しい少年を助けようと善意を押し付ける。
恵まれた家庭に育つが、その自覚なし。チャラい音楽を奏で、フォロワーの数が唯一の自慢の息子17歳。恋した相手が社会派だからと、興味ないはずの社会活動に足を踏み入れ、これまた自分の価値観をゴリゴリ押し付ける。
どう考えても折り合わない2人。なんだが、それぞれの行動が激似。さすが、親子。
正直言ってどっちも無理。と感じた(特にエヴリン)。身近にいたらひたすら避けるだろう。
よって、ちょいちょい登場する、存在感の薄い父親(エヴリンにとっては夫)が、唯一のオアシスだった。こういう人がいるから家族として成り立つのだろう。
しかし、本当に、困った奴だよ、エヴリン。
こういう人、現実にいる。社会派の中には相手に与えることにより自分の存在価値を再確認する人がいる。そして押し付けすぎる。
もちろん、与えてもらうことで助けられる。それでもどんな人でも結局は、人から施しを受けるのは好きではないはずだ。そして、そこが人間の素晴らしいところでもあると思う。
歳を重ねるほど無意識にこんな風にお節介になっていく。時々エヴリンになってないか、要注意だ。
最後に。こんな役も引き受けイキイキ演じるジュリアン・ムーアが好きだ。
エマ・ストーンが、プロデュースのA24作品。結局は身近な人に向き合おうということか。
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