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映画感想文「ファーストキス」コメディエンヌ松たか子の本領発揮、笑いと切なさを同時に味わえる作品
誰が観てもある程度響く作品。
カケル(松村北斗)とカンナ(松たか子)は離婚寸前の倦怠期カップル。
だが、ある日事故で夫が急死する。夫のその運命を変えようと決意した妻が、過去へとタイムリープするお話。
コメディエンヌ松たか子の本領発揮。ともかく何度も笑える。そしてところどころ、切ない。ユーモアとペーソスの両方を演じられる貴重な女優だ。
更に本作はタイムリープもののため、現代と15年前の異なる年代を演じる必要がある。44歳の疲れ切った倦怠期の妻の図太さ。29歳で恋に落ちる初々しさ。見事に演じ分けていた。
対する松村北斗も素晴らしかった。彼も同様に笑いと悲しみを演じられる俳優である。学者肌の生真面目で融通の効かない男の言動におかしさと可愛らしさが、滲む。更に中年期も違和感なく成熟した男の落ち着きと悲しみを演じていた。
脚本坂元裕二、監督塚原あゆ子、ヒットメーカーが組んだ間違いのない作品。やはり、ヒットメーカーは偉大である。ほぼ隙のない完成度におののく。
尚、食傷気味のタイムリープもの。しかし、本作が語っているのは共に過ごす毎日の大切さ。カップルや夫婦で観に行くとかなり響く作品であること間違いなし。