映画感想文「じょっぱり」青森のナイチンゲールの怒涛の人生、作り手の思いが溢れる力作
映画としての完成度はさておき、心打つ作品がある。
少ない予算の中で作らねばならない金銭的制約。宣伝もままならない。それでも、取り上げるテーマが素晴らしい。そして何より作り手の伝えたい思いがこもってる。それが観る人の胸を打つ。
これは、そんな映画である。
彼女の存在を本作で知った。「青森のナイチンゲール」と呼ばれた花田ミキ。
従軍看護師として3つの戦争に出向き、戦後は故郷の青森の病院で集団感染が起きたポリオの治療、行政で過疎地の地域保健教育など地域医療に尽力した。
1913年生まれ。青春時代が戦争で覆われ、戦後も働きづめ。しかも看護師の地位も女性の立場も低かった時代。そんな彼女の怒涛の人生。それを、ひょんなことから出会ったシングルマザーちさと(王林)に老人になった彼女(木野花)が語る、という回想形式で綴る。
五十嵐匠監督は自身が幼い頃、花田看護師に命を救われた経験があったのだという。
映画を観た後にパンフレットでそれを知り、なるほど、と合点がいった。監督の思いがこもった作品。
上映館少なく都内でも1箇所のみ。しかし私が観た会は日曜朝イチの上映にも関わらず、かなり席が埋まっていた。口コミの評判の高さを物語る。
機会があればぜひ観ることをお勧めしたい。