映画感想文「スージーサーチ」後味苦し、あり得なくもない展開に人の闇の深さを噛み締める
思わぬ拾い物。
映画評の評価はさほど高くないようだが、個人的にはかなり面白かった。
冴えない女子大生のスージー(カーシー・クレモンズ)。病気の母を抱え働きながら大学に通う苦学生だ。真面目で融通がきかず、学校にもバイト先にも友達はいない。そんな彼女の「私をみて!」の叫びはポッドキャスト配信である。
幼い頃からのミステリー好きが高じて未解決事件の分析を発信している。しかし、フォロワーは一向に増えない。
そんなある日、同級生のインフルエンサーであるジェシー(アレックス・ウルフ)が失踪する。早速その事件の解明に乗り出すスージー。彼女はジェシーを見つけ出すことができるのか。
実は、途中で犯人は明かされる。それでも楽しめたのは、ミステリーというより人間心理にフォーカスした人間劇であること。
人ってもしかしたら、そんな風になってしまうよね、という風刺がきいたブラックさ。あり得なくもない展開に苦さを噛み締める。
ラストの締めもピリリと効いててよし。
なかなか締まりのあるラスト。人の心の闇について考えさせられる作品であった。