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映画感想文「ヒューマン・ポジション」ノルウェーの港町に住む彼女のささやかな再生ストーリー

えぐらないところが心地よい。

誰だって生きてたら色々ある。いつでも思いっきり悲観的になれる。

見つめたくない自分の至らなさ。すれ違ってしまう人との関係。誰も私を求めてないという孤独。

そんな風に陥る、ギリギリの際を歩いてるアスタ。坂の上から海が臨める美しい港町に、同性の恋人と暮らしてる。

仕事は新聞記者。地元のあれこれを取材して取り上げることに誇りと喜びを持っていた。それなのに。いつの間にか心の病になっていた。大きな不幸があったわけではない。側から見たらなんで?なんだけど。でも誰にでも起こりうる、ひそやかな憂鬱。

そんな彼女が靄から抜け出す様を丁寧に描いた、ノルウェー映画。

あー、私も昨日こういうことあったな。みたいな地味でささやかな日常が淡々と描かれてる。ちょっとした幸せと小さな絶望。それらか繰り返す。下手したら眠くなるような静かな映画なんだけど、はたはたと胸を打つ作品に仕上がってる。

こうやって毎日細い糸を紡いで、なんとか人は生きてる。そんな尊さを感じて胸が温かくなった。

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