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映画感想文「室町無頼」大泉洋主演。エンタメとして楽しめる。リッチで分かりやすい時代劇

大味なんだが、痛快で楽しめた時代劇。

河合優実主演の「あんのこと」で、貧困と孤独に苦しむ若い女性の壮絶な人生を描いた入江悠監督が手がけた、時代劇。

思い切りエンタメに振り切ってて、ある意味、爽快。さすがの力量である。

室町時代、応仁の乱の数年前に日本で初めて一揆を起こした蓮田兵衛(大泉洋)の人生を描く。ただし、歴史書にはただひとこと、触れられているだけの人物である。なので一揆を企てた実在した人物である、という以外はすべて脚色である。

まず、この時代がこんなにも悲惨な時代であることに驚く。相次ぐ大飢饉と疫病によって人が次々と死んでいく。道端のあちこちには、死体が転がっている。人の命がこれほどまでに疎かにされているとは。頭では理解していたつもりだが映像で観るインパクトは凄まじく、ガツンと脳裏に響く。

そこにヒーロー誕生。大泉洋演じる蓮田兵衛である。武士でありながら庶民とともに倒幕に立ち上がる。計画は練りに練られているものの、勝算はない。いや、成し遂げたとて、最終的には捕まり成敗される運命だ。

それなのにイキイキと謀反を企てる。

大泉洋がひたすら、かっこいい。本当に華のある人である。また兵衛に見出され鍛えられる若者才蔵に「なにわ男子」の長尾謙杜。初見だが、身体のキレが良く、アクションが素晴らしかった。台詞回しは所々聞きづらい面もあったが、それを上回る動きの美しさよ。今後が楽しみな才能である。

ツッコミどころは色々あるが、エキストラ含め演者がリッチ、かつシンプルで分かりやすい勧善懲悪もの。楽しめる作品である。

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