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映画感想文「コール・ジェーン」60年代カルチャーを背景にポップな語りながら真摯な作品
うわー、ポップで可愛い!!
のっけから不謹慎な感想で恐縮だが、アメリカシカゴの裕福な主婦(夫は弁護士!いかにも!)役のエリザベス・バンクスの60年代ファッションがとってもキュートで印象に残った。
1960年代当時違法であった人工妊娠中絶。わずか10年弱の活動ながら、12000件の中絶を行った団体「ジェーン」の実話をもとにした映画だ。
違法行為であり最後は摘発される。しかしそのあたりの裁判や政治的主張のあれこれは割と簡略化されてて、横に置かれてる。
あくまでもこのジョイという女性の物語に焦点が当てられてる。彼女が世間を知り、周囲の意識高い系の女性達に感化され、少しずつ変わっていく様を描いている。
時代は、アメリカが繁栄を謳歌した1960年代。
そんな国で広い庭を持つ美しい家に住む、恵まれた主婦。休日にはチョコチップクッキーやパンプキンケーキを焼き、平日は夫が会社に向かった後、隣家の主婦と朝からテラスで酒を飲み流行りの小説を読む。
彼女を愛してる夫と自慢の娘に囲まれて、幸せな暮らしだ。
しかしそんな幸せな彼女をある日事件が襲う。
実際には手術のシーンが嫌と言うほど何回も出てくる。といっても実際の手元は映らなくて。手術台に登る女性達の怯えた表情や悲しみが映し出されるのだが。
そんなところからも、声高に何かを伝えようとしてる真摯な作品だとわかる。
しかしカラフルなファッション、軽快な音楽に包まれて、全体的にライトで見やすい仕立てになっている。そこがよい。
主演のエリザベス・バンクスに加え、団体のリーダーに扮してるシガニー・ウィパーも好演。
更にちょい役ながら、ジョン・マガロが強い印象を残す。
この人の出てる映画、なんと今年に入ってから既に4作目なんですが‥。まだ3月なのに。
いかに売れっ子かと言うことがよくわかる。しかも毎回異なるテイストの役ながら、いずれも印象に残る。凄い俳優さんである。