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映画感想文「ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻」火あぶりが存在した時代の暴君とその妻の物語

暴君の印象しかない。

16世紀英国のヘンリー8世。これをジュード・ロウが演じる。しかし主役はその6番目の妻、キャサリン(アリシア・ヴィキャンデル)である。

確かに興味ある。過去に5人の妻たちは次々と処刑、追放され。または出産で命を落とす。と不幸続きの彼の最後の妻である。いったい彼女がどんな運命を辿ったのか。

主演のふたりがめちゃくちゃ好演。ジュード・ロウは美男子ぶりを微塵も感じさせない、寄せぶり。誰だかわからなかった。でっぷり太って癇癪持ち。暴君のクセ強ヘンリー8世になりきってた。しかもそんな共感持てないキャラなのに、一瞬こちらが理解を示したくなるような弱さや悲しみも体現してた。すごい。

芸達者のアリシア・ヴィキャンデル。特にこういう、一見か弱く見えるが芯の強い、賢くたおやかな役は得意中の得意である。品もあって正にクイーンであった。

また前妻たちが残した子供達も興味深かった。

特に、思慮深げな顔つき、妖しく涼しげな目元で若きエリザベス1世を演じたジュニア・リースが印象に残った。大物の予感。彼女の出演作を今後も観たいと思わせる女優である。

こういう歴史物って、やっぱり好きだな。学生時代に歴史で習った人物の人間臭いドラマ。かなり創作もあるだろうが、きっとこうだったんだろうなとか想像して。どうしたって、ワクワクする。

本作は、こうやってその後に45年間の安定政治を成し遂げたエリザベス1世に続いていくんだなと感慨深かった。この父からその子ありって、不思議だし、でも必然な気もするし、異国の無関係な私が言うのもなんだが、勝手に感慨深い。

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