映画感想文「アイアイ」不思議な引力ある作品。永山瑛太と森山未來が凄い
不思議な引力のある映画。
まず、森山未來と永山瑛太の役者としての力量がすごい。目が離せない。息が付けない。身体中からオーラを放つ、全身役者って感じのこの2人を心から尊敬すしてる。この人が出てる作品はなんであろうと観なきゃね、と思う。
バンドマンのマヒトゥ・ザ・ピーポー監督の初作品。
関西地方の地方都市。退屈な日々を過ごしていたコウ(富田健太郎)は、地元ではちょっと有名なバンドのヒー兄(森山未來)と出会う。
強引な彼に、俺の弟とバンドを組めと命じられ、言われるままに従うコウ。そして、そこで組んだバンド仲間とめくるめく楽しい青春の日々を過ごす。
一方のヒー兄は相変わらず。魅力的だけど不安定。やっと掴んだメジャーデビュー直前につまらない不祥事を起こしたり、意味不明な行動で周囲に心配をかけたりする。
やがて彼女のるり姉(さとうほなみ)と幸せに暮らすかに見えたヒー兄。しかしそんな矢先に、思わぬ事件が起こる。
さて、彼らはどうなっていくのか。
なにしろ、ヒー兄が掴みどころない。そんな、こんな人いるんかいな、という訳のわからないキャラ。それをきちんとリアルに存在するかのようにみせてる森山未來が凄い。
そして、永山瑛太。強面だけど家庭的で(ていう役らしい)。そんな二面性を見事に使い分ける。そしてなにしろ、ダサかっこいい。そう、それがこの人の個性だ。2枚目、スタイルもよし。という完璧さなのに、ちょっぴりダサい。でもって一周回って結果、カッコ良い。って感じだ。
そういえば、さとうほなみも良かった。彼女はこういう少し、はすっぱな役が良く似合う。
綺麗なんだけど綺麗すぎない(ごめんなさい)。どこにでもいそうな庶民的な感じ(実際には、いないけど)。なかなかいない。得難い個性だと思う。
伏線回収できてない。辻褄も合わない。説明も足りない。と、不足は多い。かつ、映画というより、ミュージックビデオ的。荒削りだしツッコミどころ満載。でもそんなことはどうでも良いと思わせる高い熱量を放散する作品である。