映画感想文「2度目のはなればなれ」絶対間違いなき安心作。ベテラン俳優の熟達に身を委ねる
絶対間違いないやつ。
そんな映画だ。
なにしろ、主演は70年の俳優生活で200本近い映画に出演しているマイケル・ケイン(いや、ほんとこの人の映画、数えきれないくらいみてる)。
相手役はこれまた大物、オスカーを2回受賞している女優グレンダ・ジャクソンである。
この2人が老夫婦役。しかも実話に基づいた物語だ。でもってこれが戦争もの&夫婦愛という、誰もが共感できて泣ける内容なのだ。
2014年、イギリスの海辺の街にある老人ホーム。妻レネと共にホームで暮らすバーナード。70年前にイギリス海軍でフランスのノルマンディ上陸作戦に従事していた過去がある。
その年は作戦から70年後。記念式典がノルマンディで予定されていた。彼の地でやり残したことのあるバーナードは式典に参加したい。しかし、妻レネの体調が心配で踏み切れない。
そんな彼をみかねてレネがそっと背中を押す。
そして、90歳のバーナードはたったひとりでフランスへと旅立つのだった。彼のやり残しはなんなのか。果たして彼は思いを果たすことができるのか。
という物語。
だいたい先読みできてしまう。それでも名優たちの演技に身を委ね、ゆったりと安心して鑑賞できる。シナリオも確かで、読後感も爽やかな作品。
しかし、ストーリーとは別の話になるが、そもそも90歳まで健康で生きてることが素晴らしいし、ひとりで異国へ旅行できることが奇跡に近い偉業である。こんな健康な老人になりたいとしみじみ思う。
そして、タイトル、もう少しなんとかならんかったのか。が惜しまれる。元のタイトルは「The Great Escaper」。断然こっちの方が良い。
海外もののタイトルは十中八九は元の方がよいと思ってしまうのだが、どうだろうか。ついつい凝りすぎて余計にわかりにくくなるということなのか、単に私の好みの問題なのか、いまだにわからない。が、もやっとするタイトルであった。
内容は安心感100%。スリルはないが間違いのなき作品である。