映画感想文「ラインゴールド」実話を元にしたサクセスストーリー。ハラハラドキドキ爽快感満載
これが実話だなんて出来すぎでしょ。
という爽快さ。
真実は小説よりも奇なり、を地でいくストーリー。
ドイツで大成功したラッパーで音楽プロデューサーのXater(カター)。彼の波瀾万丈の半生を描く。
ホメイニ師の時代のイランで苦労したクルド民族であり、両親は音楽家。当時糾弾された文化人枠。よって、父母は何もしてないのに罪に問われ刑務所で拷問にあう。そこから命からがら家族で亡命を図りドイツへ。
やっと平穏な暮らしが戻ってくるかと思いきや、今度は両親が離婚。貧困に喘ぎ、母と幼い妹を養うため犯罪者になる、という転落人生。
あー。そっち行っちゃったか、という感じだが。実際そんな渦中から抜け出すのは、至難の業だ。
やはり環境は大事だ。米国のスラム街さながらに、彼の環境は過酷だ。家族が住む団地は難民達ばかり。貧困の中、麻薬の売人、すぐにかっとなり殴り合う若者たちで溢れてる。
そんな中で育ち、道を歩けばいちゃもんつけられ、ボコボコにされる。そこで暮らしていくには眼には目を、さながらに暴力で対抗するしかない。それが流儀なのだから。そうやってるうちに、結局は同類になっていく。
その様が切実。この手の映画でいつも思うことだが、やはり人生は選べないのか、生まれた環境で全てが決まってしまうのかと、やりきれない怒りが湧いてくる。
しかし、そこで彼を助けるのも環境である。才能と教育だ。文化人である両親は子供には最高の教育をと、食べるものも惜しみピアノを習わせ、学校に通わせていた。
当時は反抗ばかりして有り難さを感じてなかった彼だが、結局はそのおかげで音楽ビジネスに身を投じることになる。
環境のせいでこうなり、それでも環境と努力のおかげで成功する。
こういう「努力や才能が環境の不を凌駕する」という物語が好きだ。人生に希望を持てるから。
映画や小説。そういうものは、人に希望を与えるためにあるのだと私は思ってる。そんなわけで元気になれる王道映画でおすすめだ。